英国の欧州連合(EU)離脱が生み出したものがあるとすれば、それは先行きの不透明性だ。EUを離脱するという英国の決断が、公的部門と民間部門の両方に多くの面で影響を与えることは確実だが、今回の判断の本当の影響は、後年になるまで明らかにならないだろう。
それでも、この判断が欧州の経済や政治をどう変えるかについて、世界中が議論することは止められない。英国のEU離脱が確実に影響を与える分野の1つはビジネスであり、特に影響を受けるのは英国内で営業している企業や、英国で取引がある企業だ。当然ながら、世界中のビジネスリーダーは、EU離脱に対する対応を計画し、その計画を実行しているはずだ。
米TechRepublicは数人のビジネスリーダーや経営幹部から、英国のEU離脱に対する反応を聞いた。以下にそれぞれの意見を紹介していく。
adidasグループ最高経営責任者(CEO)、Herbert Hainer氏
当社はEUを離脱するという英国の判断について遺憾に思っている。当社は英国内での事業を、他の非EU加盟国と同じように今後も無事継続できるよう、あらゆる手を尽くす予定だ。
英国は当社にとって欧州でもっとも重要な市場の1つであり、adidasはこの市場で強固な立場を確立している。スポーツ製品に対する需要と、フィットネスおよび健康なライフスタイルを求めるトレンドは、今後も続くと予想している。
SAS広報担当、Steve Polilli氏
当社としては、ドル高ポンド安を背景として、世界中でさらに売り上げを伸ばし、収益を増加させるよう努めることのほかに、英国のEU離脱について言うべきことはない。
最近の英国のEU離脱を決定した投票結果が、SASの事業の進め方に及ぼす影響は、他の企業と比較すると小さい。ただし、英国の景気が後退すれば、販売サイクルが減速する可能性はある。
ドルに対するポンドの価値が下がったとしても、為替レートが2016年の売上に与えるマイナスの影響は最小限だと考えられる。見通しの不透明性が原因で英国の景気が後退した場合、短期的に新規契約が減少するかもしれない。しかし長期的には、大きな影響があるとは考えていない。
SugarCRM最高マーケティング責任者(CMO)、Clint Oram氏
「当社では、部門横断的な『ブレグジットタスクフォース』を組織し、今回のEU離脱が現在の顧客および潜在的な顧客に与える影響を判断するとともに、顧客のニーズにどう対応すべきかを検討している。当社は、SugarCRMの取締役であり、元Credit Suisseのグローバル最高情報責任者(CIO)のFrank Fanzilli氏と、英国のEU離脱が金融部門に与える影響について議論するウェビナーを開催する準備を進めているところだ。
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