ユーザー事例もすごかった!
ユーザー事例についても、興味深い発表がたくさんありました。初日の基調講演では、まず、米国大手金融機関のCapitalOneのAdam Wenchel氏による「A Better Way to Secure Your Enterprise」の話がありました。この話の中で非常に印象的だったのが、サーバのログを収集するのにHDFを使いまくっていたことです。
米国大手金融機関CapitalOneではサーバのログ収集にHDFを活用している
最も面白かったのは、初日の基調講演での2つ目の事例。米国の自動車の損害保険会社PROGRESSIVEのBrian Durkin氏とPawan Divakarla氏が、Snapshotについてデモを交えながら紹介しました。Snapshotは、車に装着する小型デバイスでさまざまなセンサデータをクラウド上に送り、お客様とのベストな契約料金を決める仕組みとのことです。日本でも同じようなことを行っている企業があると思いますが、特に面白かったのが、車からのセンサデータと他のデータソースと組み合わせ、犯罪が起こりやすい地域を避けるようなガイドができるという点です。
米国の自動車の損害保険会社PROGRESSIVEでは車載センサで収集したデータを他のデータソースと組み合わせて“犯罪が起こりやすい地域を避ける”ナビゲーションを実現している
他にも、2日目のジェネラルセッションで行われたカスタマーパネルセッションには、Beata Puncevic(ヘルスケア)、macy’s(小売)、ConocoPhillip(石油エネルギー)が登壇し、各企業での取り組みを説明したり、アリゾナ州立大学のKenneth Buetowが、癌の研究にどのようにHadoopを利用しているかの事例を紹介しました。3日目のジェネラルセッションでも、Comcast Cable(米最大手ケーブルテレビ)とmecy’sの事例紹介がありました。
日本人が目立つHadoopコミュニティ
Summitでは、Hadoopのコミッター席が特別にリザーブされていたり(実際コミッターは特別席にほとんど座らなかったので途中で撤去されてましたが)、ほとんどのスピーカーがコミュニティの重要性に言及していたりと、随所でHadoopコミュニティの重要性が強調されていました。
基調講演の途中では、Hadoopのコミッターを壇上に呼び、Apache Hadoop誕生10周年を祝っていましたが、その中にかなり日本人らしき方がいたことに驚きました。
基調講演ではHadoopのコミッターが壇上に呼ばれ、みんなでApache Hadoop誕生10周年を祝った
Apache Hadoop誕生10周年を祝うケーキ
最後に、Hadoop SummitのTokyoでの開催と、来年からはDATAWORKS Summitというブランドで行われるということが発表されました。冒頭にも書きましたが、「Data at Rest」と「Data in Motion」を、クラウド、オンプレミスでどのように利活用するかがテーマになるのであれば、Hadoopだけでなく、クラウド、IoT、ストリーミング、DevOpsなどのカテゴリが必要になるのは当然ですね。Spark Summitとともうまく連携できればいいのにと思いました(笑)
【Hadoop Summit 2016 San Jose参考動画】
- 北瀬公彦
- 2016年6月、ホートンワークスジャパンに入社。ビッグデータの収集、蓄積、分析基盤製品のマーケティングを担当。入社前、米Data Science Dojoが開催するデータサイエンティスト養成講座に参加するも、全く畑の違う分野で悪戦苦闘。開き直って、初心者に優しいデータの利活用術をお伝えしようと考えている。前職では、日本IBMで、クラウドエバンジェリストとして、IBMクラウドの魅力をお伝えしていた。