ガートナーは6月15日、米国で開催した「ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメント サミット2016」において、企業・組織にとって戦略的な重要性を持つと考えられる情報セキュリティ技術のトップ10を発表した。ガートナー ジャパンが7月11日、日本語訳で伝えた。
注目すべき情報セキュリティテクノロジのトップ10は以下の通り。
クラウド・アクセス・セキュリティ・ブローカ(CASB)
CASBは、複数のクラウドプロバイダーの環境を介して、安全かつコンプライアンスに適合した環境で、クラウドサービスを活用するために欠かせないコントロールポイントを情報セキュリティ担当者に提供する。
エンドポイントの検知/対応(EDR)
膨大な数のエンドポイントイベントとネットワークイベントを管理し、解析することで内部ユーザーからの脅威を含む不正アクセスの兆候を早期に示すデータを継続的にチェックし、これらの攻撃に迅速に対応できるようにする。
エンドポイントのセキュリティ保護に対するノンシグネチャ型アプローチ
エンドポイントのマルウェア対策で一般的なシグネチャなどの手法に替えて、マルウェアを検出/ブロックする数学的モデルを使った機械学習ベースのマルウェア防御策など、従来のシグネチャ・ベースのアプローチを補う新たな手法が数多く登場している。
ユーザー/エンティティ挙動分析(UEBA)
SIEMが幅広い範囲のセキュリティモニタリングを可能にするのと同じように、UEBAはユーザーの振る舞いなどユーザーを中心に置いた分析機能を提供。さまざまなエンティティにわたる分析の相関関係で、より効果的に脅威を検知することが可能に。
マイクロセグメンテーションおよびフローの可視性
より細かいレベルのセグメント化により、侵入した攻撃者がエンタープライズネットワーク内で水平方向に行き来するのに対抗する。また、通信フローを可視化・モニタリングするソリューションもあり、ポリシーから外れた挙動をモニタすることもできる。
DevOpsのためのセキュリティテスト
DevOpsにおいては、ワークフローの一部にセキュリティを統合する必要があり、「DevSecOps」とも呼ばれる。スクリプトやテンプレート、ポリシーなどをもとにセキュリティインフラの確立を自動化させようとする製品やサービスが提供されている。
インテリジェンス主導型SOCのオーケストレーション
インテリジェンス主導型SOCでは、インテリジェンス(情報)を目的に構築し、セキュリティオペレーションにかかわるあらゆる局面に情報を提供できるように活用することが求められる。SOCプロセス自動化とオーケストレーション技術が、従来型SOCからの進化に必要となる。
リモートブラウザ(ネットワーク分離)
攻撃の出発点の1つとなっているブラウザにおいて、そのセッションをリモートの「ブラウザサーバ」から提供することで、ブラウジング機能のみを他のエンドポイントや企業ネットワークから切り離すことで、マルウェアが侵入することを防ぐアプローチ。
偽装テクノロジ(Deception)
偽装により攻撃者の識別プロセスの妨害、攻撃自動化ツールの中断、攻撃活動の遅延や不正アクセスの妨害などを行う技術が出現している。こうしたツールや戦術を採用する企業の割合は、2018年までに10%に達するとガートナーでは予測。
広域なトラスト・サービス
オペレーショナルテクノロジやIoTにまでセキュリティ保護を拡大してほしいというニーズに対し、数十億個ものデバイスをサポートし大規模な環境に展開できるトラストサービスが構築されるようになってきた。先端的なアプローチでは、分散型トラストおよびブロックチェーンのようなアーキテクチャによって、大規模な環境に分散しているトラスト・サービスおよびデータの完全性を管理している。