ネットワンシステムズは7月12日、医療機関向けの仮想基盤パッケージ「Artery(アーテリィー)」を同日より販売開始すると発表した。また、医療機関向けのデモや、医療情報システムベンダー向けのシステム稼働検証機能を提供する、「NetOne Healthcare Innovation Center」を同日開設する。Arteryの価格は、Entryパッケージの最小構成価格(5年保守サービス込)で税別1億1500万円より、目標売上は初年度5億円。
Arteryは、導入実績を基に設計した医療機関向けの仮想基盤パッケージで、高い耐障害性と運用性を実現しているという。
医療機関では現状、病院情報システム(HIS)/放射線科情報システム(RIS)/医療用画像管理システム(PACS)/各診療部門システムなどのシステムが使われているが、各システム単位でサーバ、ストレージ、ネットワークを個別導入・個別運用しているケースが多い。こうしたインフラのコストや運用負荷、設置スペース削減のため、共通仮想基盤の導入検討が拡大しているものの、医療機関および医療情報システムベンダーは、仮想基盤上での医療情報システムの性能や操作感に不安も抱いているのが実態だ。
本パッケージはこうした不安に応えるもので、ネットワンシステムズが豊富な導入実績をもつ「EMC VSPEX」と「VCE VxRail Appliance」をベースとし、医療機関のシステム規模に応じた3タイプのパッケージ(仮想マシン40台規模の「Entry」、同80台規模の「Standard」、同120台規模の「Advanced」)を用意することで、迅速な導入を可能にした。仮想環境特有の機能を活用することで、医療情報システムの安定稼働・停止時間短縮も実現する。
また運用面では、ネットワンシステムズが遠隔地からArteryの運用を支援することで、専任の運用担当者がいない医療機関の負荷を大幅に削減。従来の物理環境では、障害時に医療機関側で障害検知・切り分けおよび各システムベンダーへの連絡を行う必要があったが、Arteryではネットワンシステムズが仮想基盤全体の監視と障害対応を一元化しており、障害検知から復旧まで迅速な対応を可能にしている。
一方、NetOne Healthcare Innovation Centerは、医療情報システムを物理基盤から新たに仮想基盤へ移行する際に、医療機関と医療情報システムベンダー双方の不安を解消するためのデモ&検証センター。医療機関はデモンストレーションを通じて仮想基盤上でのシステムパフォーマンスや操作感を事前に確認することができ、医療情報システムベンダーは取扱いシステムの仮想基盤上での稼働を検証することが可能。