英国政府は、給付金を求める市民がどのように支出しているのかを把握するための試験的な取り組みを開始している。
Motherboardが報じているように、英国政府は6月、ブロックチェーン技術を使った試験的な運用をスタートした。このシステムはBitcoinなどの仮想通貨を使う取引を支えるもので、一種のデジタル「元帳」であり、決して変更ができない会計システムとなる。
このシステムは福祉関連の給付金受給者の取引やアカウントを永久に記録するもので、GovCoin Systems、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、Barclays、エネルギー企業のRWE npowerの提携で生まれたものだ。
トライアルは、ロンドンで7月初めに開催された「2016 Payments Innovations Conference」で、労働年金省の福祉改革担当大臣を務めるLord Freud氏により発表された。Freud氏は報道資料で次のように述べている。
受給者は自分のスマートフォンでアプリを利用して、給付金の受給と支出を行っている。受給者の合意の下、取引は分散型の元帳に記録され、受給者の財務管理を支援する。
Barclaysでコーポレートバンキング担当バイスチェアマンを務めるJeremy Wilson氏は、試験的な運用の結果、「政府と受給者がこれまでよりも深く、効果的な関係を構築できるだろう」と述べたが、一部には不安もある。
取引は現金などを使わない限り、銀行により記録されるが、手当て受給者が各取引を記録することは不自然でもある。
長期的なメリットがないのになぜ英国政府が資金と時間を投じてこのシステムを構築しているのか疑問に思うべきかもしれない。
仮定として、ぜいたく品や生活に不要と考えられるようなものへの支出を禁止するなど、手当ての利用に関連して新しい規則を定めるのにそのようなデータを使うことができる。たとえば、アルコール、タバコ、旅行、洋服など特定の予算外の購入に対して課税できるかもしれない。あるいは、オーストラリアと同じように、現金の代わりに食料、住宅、ヘルスケアなどの必需品のみに使うことができるクレジットカードを発行するシステムの導入に向けた第一歩となるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。