Amazonは米国時間7月28日に2016年第2四半期の決算を発表する予定だが、「Amazon Web Services」(AWS)は同社の大きな収益の柱となる見込みだ。AWSの利益幅は注目を集めており、Microsoftは決算報告でAWSの利益幅をAzureと比較し、IBMは同社のAs-a-Service事業は今後決算への貢献度を増すとしている。
これまでAmazonのサービスが、利益幅の点で競合企業からこれほど注目されたことはない。同社の小売り事業の利益幅はごくわずかだが、クラウド事業ではまったく状況が異なる。
Microsoftの最高財務責任者(CFO)を務めるAmy Hood氏は、同社の第4会計四半期の決算発表後、次のように述べざるを得なかった。
当社の前年同期比での業績改善は目覚ましいもので、2017会計年度には、規模のメリットとこれまでの投資によるさらなる改善を見込んでいるが、さらに重要なのは、売上の推移と利益幅についても改善が見込まれることだ。
Boeingとの契約は、大きな利益幅でプレミアムなサービスを提供する契約の1例だ。わが社は今四半期、この種の契約を数多く獲得しており、この成果に満足している。AWSの利益幅の状況については強く意識しているが、それでも当社の成長については満足できるものだと考えている。
Azureは関連する同一条件下でのワークロードの比較でもよい結果が出ているが、より広範な当社のクラウド関連ポートフォリオや、Azureで進めている多くのイノベーションと「Dynamics 365」および「Office 365」の連携から健全な利益幅を得られている点も順調だ。ワークロードの改善も重要だが、わたしはクラウド関連事業全体でどのような成果が上げられるかについても重視している。
StifelのアナリストBrad Reback氏は、Microsoftの商用クラウド事業に対する設備投資は今後縮小していく可能性が高いと述べている。
IBMが第2四半期の決算を発表した際、CFOであるMartin Schroeter氏は、同社のクラウド関連投資は、決算に好影響を与え始めていると述べている。
As-a-Serviceの部門は前年と比べると、前年後半以降から既に利益に好影響を与え始めている。今後は、市場の向かう方向や、再投資を進めるのではなく利益幅を増加させていく(あるいは維持する)ことにどれだけ依存できるかを見極めていくことになるだろう。
大手クラウド事業者は規模拡大の段階をすでに終え、利益幅の拡大に向かっている。
そして、AWSほど大きな利益幅を得ているクラウドプロバイダは存在しない。Credit Suisseは、第2四半期のAWSの売上は、前年同期比45%増の26億4000万ドルに達すると予想している。同社は、AWSの稼働率は100%を下回る見込みで、これは設備投資と全体としてのキャッシュフローの予想がしやすくなることを意味すると述べている。
GoogleとAmazonの決算報告が発表されれば、各クラウドプロバイダがビッグデータや機械学習、モノのインターネット、アナリティクスなどのハイエンドサービスを中心に自社のスタックを構成しつつあることが明確になる可能性が強い。
Pacific CrestのアナリストBen Wilson氏は最近、クラウド大手事業者は汎用インフラプロバイダから本格的なアプリケーションスタックを提供する企業に進化していると述べている。同氏は「クラウドプロバイダが利益幅を維持しつつシェアを拡大するには、自社のクラウドアーキテクチャに特化したアプリを書く開発者が必要になる。各社は今後、独自のハードウェアやソフトウェア、およびミドルウェア的な機能を通じて、それを模索して可能性が高い」と述べている。
Pacific Crestが作成した図によれば、パブリッククラウドはプラットフォームのフェーズに入りつつある。IBMとMicrosoftの利益幅に関する発言は、両社がそのフェーズに向けて取り組みを加速しつつあることを示している。
しかし、これまでのフェーズと同じように、各社は依然としてAWSを追いかける立場にある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。