米食品医薬品局(FDA)が16年前に医療ロボット「de Vinci」を承認して以来、ロボットを利用した医療が進んでいる。そしてついに、ロボットの腕と人間の手の効果は同じぐらいだという調査結果が出た。
医師は通常、この医療ロボットシステムを自分の手術を支援するツールとして利用する。Prostate Cancer Foundationによると、米国人男性の7人に1人が前立腺ガンになるリスクがあるとされており、この医療ロボットはこの前立腺ガン患者の治療に多く使われてきた。de Vinciは200万ドルで決して安価ではないが、医療ロボットは米国では根治的前立腺摘除(前立腺を除去する手術)の80%で使われている。
人間の手による直視下手術と比較して、ロボットが支援する腹腔鏡下前立腺摘出術(RALP)は多くの医師と患者に好まれる方法だ。小さな切開で、回復しやすいと想定されるためだ。従来、前立腺を摘出するために医師はへそから恥骨までを切開していた。
RALPにより、医師は制御パネルを前に、ロボットアームを使って手術を行う。ロボットは高倍率の3Dカメラを持ち、医師はこれを利用して患者の腹部を見ながら、実際の切開はロボットが行う。
医療ジャーナルThe Lancetで7月中旬に発表された医療ロボットの手術と直視下手術を比較した調査では、ロボットと人間の医師がともに同じような結果をもたらしたという結論をだしている。
調査はロイヤルブリズベン&ウィメンズ州立病院で行われ、308人の前立腺ガンの男性患者をロボットによる手術と医師による直視下手術のいずれかにランダムに割り当てた。手術から3カ月後に患者を評価したところ、ロボットによる手術は人間とほぼ同様に効果的だったと研究者らは結論付けた。
RALPの利点として、RALP患者の方が回復が早かったという。手術中に出血量が少なく、入院期間も短かった。手術から6週間後の身体の状態は、直視下手術の患者よりも良かった。前立腺摘出成功の指標とされる泌尿機能と性機能の両方から測定した12週間後の結果は、いずれのグループの患者も同様だった。
一方で、がん生存率など長期的な成果については、まだ結果を待つ必要がある。調査は継続中で、合計2年にわたって患者を観察することになっている。
提供:Intuitive Surgical
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。