企業向けにソフトウェア購入ガイドを提供するBetter Buysが2016年における米国のSaaSの現状に関するレポートを公開した。同レポートでは、SaaS業界の急速な成長とともに、すべての従業員が熟知しておくべき垂直型のSaaSが増えつつある状況が浮き彫りにされている。
提供:Better Buys
サービスとしてのソフトウェア、すなわちSaaSは業務を遂行する一般的な方法として、ローカル環境にインストールされているプログラムを急速に置き換えている。Better Buysが新たに公開したレポートは、どのような変化が起こっているのか、またその変化によって企業やチームにどのような影響がもたらされるのかについて光を当てている。
垂直型SaaSの増加
新興企業でもない限り、たいていの企業はオフィスのどこかにサーバを設置している。そうしたサーバ上では電子メールサービスが稼働していたり、プログラムのライセンスが取り扱われていたり、場合によっては基幹業務を扱うソフトウェアが稼働しているかもしれない。
このようなシステム形態は、クラウドベースのSaaSプラットフォームに取って代わられ、急速に姿を消しつつある。Salesforceの製品や、Intuitの「QuickBooks Online」、Workdayの製品、「Google Drive」など、業界を選ばないソフトウェアの普及が進んでいる。しかしこれらの製品も、永久に標準的な存在ではいられないことが統計によって示されている。
Better Buysの調査によると、SaaS関連の新規開発の大半が垂直型を指向するようになってきているという。垂直型のSaaSは特定の業界やニーズを念頭に置いており、そうしたサービスを展開している企業は2014年から市場で大きなシェアを占めるようになっている。
マーケティングや営業活動、CRM、データ収集、Eコマースに注力するプラットフォームがSaaS開発の成長をけん引している。企業が特定のタスクに向けた垂直型プラットフォームを複数利用するという動きが一般的になってきているため、従業員は自らの担当業務で使用するプラットフォームに精通していることが求められるようになる。
従業員の立場から見たSaaS
同レポートは、SaaS関連のスキルが要求されている求人にも焦点を当てており、特定のSaaSプログラムが要件として挙げられているケースの増加を示している。具体的には、DomoやMoz、Stataといったプラットフォームの知識を有するアナリストに対する求人が多くを占めている。
SaaSが要件となっている求人で2番目に多いのは、驚かれるかもしれないが、管理業務に携わるスタッフだ。彼らが日々の業務で使用するSaaSプラットフォームはいくつもあり、それらに関する知識はプロフェッショナルとして必要不可欠なものとなってきている。契約にまつわる事務手続きを迅速化するための「DocuSign」であるか、行事の管理や計画のための「Cvent」であるか、大量の電子メールやニュースレターを取り扱うための「Constant Contact」であるかにかかわらず、こうしたスタッフに対するSaaS関連スキルの需要が高まっている。
SaaSが要件に含まれている求人の3位から5位はプロジェクトマネージャー、販売促進担当者、顧客サービス担当者となっている。挙げられている10の職種のうち、IT分野のものは数個しかなく、SaaSプラットフォームが業務において中心的な位置を占めるようになってきており、誰もが何らかのSaaSを利用するようになることが分かる。