デジタル変革無き経営は後退と同じ:「Microsoft Foresight」基調講演

取材・文:阿久津良和 構成:羽野三千世 2016年09月08日 18時24分

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 日本マイクロソフトは9月6~7日、都内で経営者や役員など業務に責任を持つビジネスリーダーを対象にしたイベント「Microsoft Foresight」を開催した。2日目の基調講演では、「デジタルトランスフォーメーションで未来はどう変わるのか?」をテーマに、同社 代表取締役 社長 平野拓也と、パートナー企業との対談が行われた。

「次世代ワークプレース」で銀行行員の働き方を変革

 1組目に平野氏と対談したのは、三井住友銀行 取締役 兼 専務執行役員 谷崎勝教氏。同行はMicrosoft AzureやOffice 365などを採用している。

平野氏 御行では働き方改革についてどのように対応しているか?
谷崎氏 われわれは働き方改革へ積極的にコミットしている。労働と育児の両立や女性キャリア支援など、女性の活躍をテーマにしたダイバシティ推進委員会を設置し、活動を全行的に進めている。また、取り組みの一環として5月から在宅勤務を実施した。金融機関であるため、取り扱う情報をすべてパブリッククラウドに置くことはできず、行内と同じ情報を扱うことはできないが、できる限り同じ作業環境を構築している。われわれはこれらの取り組みを「次世代ワークプレース」と名付け、各種制約を改善しつつ、積極的かつ刷新的な労働環境を行員へ提供するように取り組んでいるところだ。


日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏

平野氏 デジタルの力を積極的に活用しているが、経営に対する影響は?
谷崎氏 行内の生産性向上から始めたが、次の段階として考えられるのが顧客との関係。例えば法人担当営業が顧客先に出向いて商談をし、行内に戻ってから他のセクションと調整したあと、さらに顧客先に向かう。このプロセスでは数日を要する。だが、コミュニケーションツールを活用すれば、顧客先の現場でソリューションを提供することも可能だ。これを次の段階と考えている。個人の顧客に対しても、タブレット上に投資信託などのデータを収録して、情報提供を行っている最中だ。デジタルを使って新しいサービスを提供していきたい。

平野氏 具体的な利用シーンは?
谷崎氏 現在行内ではSkypeを使ったテキストチャットやビデオ会議が浸透している。われわれが期待しているのは、個人・法人の顧客と直接話ができるような時代。タブレットを用いずとも、直接コミュニケーションを取れる時代を目指し、セキュリティなど安全を確認しながら進化を進めたい。

平野氏 今後のコミュニケーションで重要なのは?
谷崎氏 コミュニケーションで重要なのは顔と顔を合わせること。ビデオ会議はそれに近い。これからのビジネスは、スピードが遅い=ビジネスロスだ。例えば個人の顧客に対する住宅ローン事前審査はこれまで数日を要したが、行内にコミュニケーション基盤を構築することで、現在は15分程度で結果がメールで送られてくる。このようにリアルタイムコミュニケーションの効率性も追求したい。

平野氏 デジタルトランスフォーメーションに関する課題は多い。成功に導く鍵は?
谷崎氏 われわれもトランスフォーメーションの道のりの途中だ。金融機関という文化では、1つのことを変えるにも手間がかかることは否定できない。だが、働き方を変えなければならないという危機感を持っている。この変化を生み出すと同時にデジタルを活用するには、経営トップのコミットメントが必要だ。幸い、IT部門に限らず、総務や人事など銀行全体で変革しようという機運が高まっているが、ここでも頭取のリーダーシップが活きている。リーダーがメッセージを発信し、中長期的な目標を掲げるのが大切だ。


三井住友銀行 取締役 兼 専務執行役員 谷崎勝教氏

平野氏 今後、中期的にデジタルによる経営改革を進めるのか?
谷崎氏 われわれはMicrosoft Azureを導入しているが、Azure上で勘定データなどを扱うのはまだ難しい。だが、一般企業と同じく各データをパブリッククラウドへ移行させるメリットは享受できるはずだ。われわれを取り巻く経済・労働環境はデジタルをキーワードに変化し続けており、そこへ追いつけないと取り残されるリスクを感じている。もちろん金融機関として各テクノロジを取り込めるのか、見極める必要があるものの、その上で新たな金融サービスや営業スタイル、顧客に何を提供できるのかを考えたい。

平野氏 デジタル経営変革を行う上で、ビジネスリーダーのなすべきことにアドバイスを。
谷崎氏 ビジネスのグローバリエーションや、ダイバシティ推進による多様化はあらゆるところで進んでいる。その流れに対して、限られた時間や人材、最大のアウトプットを実現し、競合他社に勝ち抜くためのワークスタイルを得なければならない。ミレニアム世代が台頭する時代に同じワークスタイルで良いのか。彼らがどのようなワークスタイルを選ぶのか理解しなければならない。この点を踏まえてリーダーは中長期的成長戦略を打ちだすべきだ。

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