エンタープライズテクノロジの企業が、過去6カ月間で2割近くも成長しているにも関わらず、危機に瀕していると言われることは珍しいことだ。
そこにRed Hatの謎がある。同社は第2四半期に優れた業績を上げ、100万ドル以上の契約を55件も結んだ。
しかし世間では、企業の自社データセンターからパブリッククラウドへの移行が進むに従い、Red Hatは最終的に収益源を失うという議論が広まっている。
この懸念は、2016年のRed Hatの株価が横ばいか値下がりの傾向にある原因の1つになっている。
問題はこうだ。Red Hatは繰り返し、同社のソフトウェア(特に「Red Hat Enterprise Linux」や「OpenShift」、そして同社の「OpenStack」に関する取り組み)はハイブリッドクラウドにとって重要だと述べている。しかし「ハイブリッドクラウド」という用語は、多くの場合レガシーベンダーが、より多くのデータセンター向け機器やソフトウェアを売り込もうとする際に使われることが多い。しかし、Red Hatが言うハイブリッドクラウドは、通常とは違う意味を持つ。
Red Hatの最高経営責任者(CEO)Jim Whitehurst氏は、同社の業績発表カンファレンスコールで、パブリッククラウドの共食いについてどう考えているかと質問された。同氏はこれに対し、Red Hatの製品は、サーバ市場でさまざまなサーバで使われているように、クラウド市場でも複数のクラウドで使われていると説明した。
その際、Whitehurst氏は「パブリッククラウドへの移行が進むことがRed Hatにとってよい影響を及ぼすのか、悪影響を与えるかについて、懸念されていることは分かっている。一部の人は、パブリッククラウドへの移行が進むと、Red Hatがレガシー企業になると考えている」と述べている。
ここが問題だ。パブリッククラウドの導入は、必ずしもRed Hatにとって悪影響とは限らない。Red Hatのソフトウェアは、Microsoftの「Azure」を含め、多くのパブリッククラウドで利用されているからだ。「われわれが提供する価値命題は、HPやDellのサーバで利用されていたときと同じだ。われわれはもはやハードウェアには縛られておらず、Microsoftのエンジニアにも利用されている。顧客がRed Hatのサブスクリプションを購入してくれる限り、それがどこで実行されているかは問題ではない」とWhitehurst氏は述べている。