MM総研は9月14日、ウェアラブル端末について、消費者調査や企業へのインタビューをもとに国内の市場展望を発表した。国内のウェアラブル端末利用状況を把握するために実施したもので、回答数は、個人が予備調査8797人、本調査150人、法人が予備調査1万1631人、本調査100人。
調査の結果、ウェアラブル端末の知名度は前回調査より8.7ポイント上昇し57.6%となったものの、利用者に対する満足度は56.6%、継続利用意向は40.0%にとどまるなど、まだまだ改善の余地がうかがえるという。
主な調査結果は以下の通り。
ウェアラブル端末の知名度は上昇
調査にあたってはウェアラブル端末を「身に着けることができるコンピュータ」で、「ネットワークに接続できる機器(スマートフォンなど他の通信機器と連携するものも含む)」と定義している。知名度として、「知らない・分からない」を除く回答を合計したところ57.6%となり、前回調査より8.7ポイント上昇した。
個別製品についてみると、「Apple Watch」の知名度が77.5%と前回調査より19.3ポイント上昇、ソニーモバイルコミュニケーションズの「SmartWatch」では52.7%と前回調査より9.4ポイント上昇した。
ウェアラブル端末の認知度(MM総研提供)
本格的な普及はまだこれから
所有しているウェアラブル端末について尋ねた結果、回答者(n=8797)の94.6%が「この中で所有しているものはない」と回答、何らかのウェアラブル端末を所有している人の割合は5.4%にとどまった。
タイプ別では、「時計(ウォッチ)型」が最も多い3.2%、次いで「メガネ型(HMD含む)」が1.8%、「リストバンド型(ブレスレット含む)」が1.6%となった。一方、「アクセサリー型(指輪、ペンダント、カチューシャなど)」「ヘッドセット型」「ソックス型(靴を含む)」はいずれも1%以下であった。
前回の調査結果に比べ、いずれも所有率は上がっているものの、その上げ幅は全て1ポイント未満の微増にとどまった。ウェアラブル端末の所有率は総じて低く、本格的な普及はまだこれからの段階であることがうかがえる。
ウェアラブル端末の満足度
現在最も利用しているウェアラブル端末についての満足度を10項目に分けて調査したところ、最も満足度(「満足」と「やや満足」の合計)が高かったのは「デザイン」の63.3%で、「全体の満足度」が56.6%で続く。
逆に最も満足度が低かった項目は「連携アプリ数」で41.3%、次いで「連携デバイス数」の42.0%だった。また、「不満」と「やや不満」を合計した数値でみると「バッテリーの持ち」が22.0%と高くなっている。
ウェアラブル端末の満足度(MM総研提供)
業務利用における導入目的は「作業効率化」がトップ
ウェアラブル端末については、以前から医療や製造現場などで導入に向けた動きが進んでいるため、今回は一般消費者とは別に、日本国内の勤労者(パート、アルバイトを除く)、経営者を対象に、ウェアラブル端末の業務利用のニーズについての調査を行った。
また、ウェアラブルコンピュータに関して「詳しく説明できる」「ある程度知っている」「名前は聞いたことがある」と回答した6448人を対象に、回答者が勤務している会社におけるウェアラブルデバイス活用の有無について尋ねた。
「ウェアラブルデバイスを導入している」または「ウェアラブルデバイス導入を検討している」、かつ会社においてウェアラブルデバイスに関わっていると回答した1062人を対象に、ウェアラブルデバイスの導入/検討目的を尋ねたところ、「作業の効率化」が38.7%と最も多く、次いで「コミュニケーション活性化」が34.7%となった。一方、「従業員削減」は10.5%と低く、その他の項目は20%台であまり差がつかない結果となった。
業務利用での導入はメリット訴求がカギを握る
「ウェアラブルデバイス導入に興味はなく、今後も導入しない」かつウェアラブルデバイス導入を決定もしくは(導入が行なわれたと仮定した場合に)利用する立場にあると回答した546人を対象に、ウェアラブルデバイスを導入・導入検討しない理由を尋ねた結果、「必要がない」(47.6%)を除いて最も回答数が多かったのは「導入効果が分からない」で31.1%であった。
次いで「判断する材料/情報が不足している」が14.1%、「構築・運用コストが高い」が13.7%となった。企業におけるウェアラブルデバイスの導入率を上げるには、ウェアラブルデバイス導入によるメリットを担当者に具体的に示す必要がありそうだ。
ウェアラブル端末の業務利用における導入目的(MM総研提供)