あゆみ製薬は、ライフサイエンス業界向けソフトウェアを用い、医薬品の安全管理やリスク管理などの安全性情報管理業務を支えるIT基盤を5カ月という短期で構築した。ソフトウェアを提供した日本オラクルが9月27日、発表した。
あゆみ製薬は、2015年8月に参天製薬の抗リウマチ薬事業を、同年12月に昭和薬品化工の鎮痛薬などの医科事業を承継して誕生した新しい製薬会社で、リウマチ・整形外科領域の高い専門性を有している。同社では新興の製薬会社として、症例報告などの安全性情報管理業務のために必要となるIT基盤を早期に構築する必要に迫られていた。
採用されたのは、オラクルのライフサイエンス業界向けソリューション「Oracle Argus Safety」。安全性情報をグローバルに一元管理できるアーキテクチャと、参天製薬での実績を評価し、2015年11月に採用を決定した。さらに、医薬品医療機器総合機構(PMDA)への報告書作成や日本国内のレギュレーションに対応できるパッケージ「Oracle Argus Safety Japan」も合わせて採用している。これらのソリューションとパッケージを活用することにより、構築期間5カ月という短期での導入を実現した。
なお、導入支援から環境構築、トレーニングにいたる全体のプロジェクト推進は、日立製作所が担当している。日立は医薬品の安全性情報管理システムの導入実績も多く、当プロジェクトにおいては、同社の経験・ノウハウを集約したArgus導入専用の「日立CSVテンプレート」が用いられている。
Computerized System Validationとは、コンピュータ化システムの信頼性を検証・確認し、その結果を文書化して保証することだが、製薬・医療機器業界においては、厚労省によりそのガイドラインが発出され、その方法・手順が示されている。本テンプレートでは、顧客側で準備の必要なユーザー要件書や、ユーザー受入れテスト用の手順書、日本語でのユーザー向け操作マニュアルなどの雛形が用意されているため、導入にかかる期間の短縮に寄与したという。また、症例データの移行を、承継品のみに限定して行うことで、厳格な管理を実現した。
あゆみ製薬が今回構築したIT基盤では、Oracle Argus SafetyおよびOracle Argus Safety Japanの広範囲にわたる自動化、ワークフロー管理、管理者および経営幹部用のダッシュボードといった高度な機能により、安全性業務の大幅な効率化が期待されている。また、安全性情報の統合化により、グローバルな安全性情報の管理業務が可能になるとしている。