IBMとSlackは米国時間10月26日、「IBM Watson」のコグニティブコンピューティング能力を、Slackプラットフォーム上のチャットボットやその他の会話推論エンジンで活用することを目的とした提携を発表した。
この新たな提携に基づいて両社はまず、Slackの顧客サービスボットである「Slackbot」をアップデートし、「Watson Conversation」を組み込む。この統合により、同ボットの精度とトラブルシューティング効率が向上すると見込まれている。ボットに人工知能(AI)を活用するのは、10月にデイリーアクティブユーザー数が400万人を突破した同社にとって初めての取り組みとなる。
Slackの最高経営責任者(CEO)Stewart Butterfield氏は発表で「財務や顧客サポート、人事から人材雇用やマーケティング、営業に至るまでのさまざまな業務チームが、ワークフローをSlackに統合するようになっているため、コグニティブ能力の強化によって得られるメリットは極めて大きなものとなる」と述べている。
一方、IBMはWatsonを組み込んだ独自のSlackチャットボットを開発し、企業におけるIT運用やネットワーク運用で発生するインシデントをIT部門が洗い出し、修正するうえでの支援を提供していく考えだ。ボットによってコミュニケーションと、クラウド運用やIT運用、ネットワーク運用といった従来型のツールが1つのチャネルに統合されるため、ユーザーはこれらの間を行き来しなくても済むようになる。これらのボットは、Watsonの機械学習テクノロジによって、使えば使うほどより優れた応答を返すようになるはずだ。
IBMとSlackは、こうした取り組みから得られる成果を開発者と共有するとともに、Slack開発者によるWatson利用を支援するためのツールを提供することになる。例を挙げると、IBMはWatson Conversationサービスと、Slackやその他のメッセージチャネルとのやり取りを可能にする「Botkit Watson」というミドルウェアプラグインをリリースする予定だ。
IBMによると、マーケティングや設計、エンジニアリングといったグループを含む同社チームの多くもSlackを利用するようになるという。
またIBMは、Watsonを活用した独自のコラボレーションツールの開発についても発表している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。