Appleの創業者である故Steve Jobs氏は、かつてパーソナルコンピュータ(PC)のことをテクノロジ市場におけるトラックだと形容した。社会が農業中心だった時代には、自動車と言えば農地で使用できるトラックがすべてだったが、社会の都市化にともなって自家用車が好まれるようになった。同じことがテクノロジ市場にも起こるというわけだ。その言葉通りに世の中が変わっていきそうななかで、Appleは米国時間10月27日、同社のコンピュータである「MacBook Pro」の新モデルを発表した。同社は過去数年にわたって「iPhone」や「iPad」に注力していたが、ここに来てMacを再び舞台の中央に据えたのだ。
とは言うものの、Macの強化という動きは、iPad需要の衰えが続き、iPhoneの販売が停滞している状況を考えると筋が通っていると言えるだろう。しかも、法人市場におけるIBMの大々的なアシストの邪魔をする心配もない。市場シェアが1桁台しかないMac製品は、企業での採用によって再び成長事業に押し上げられる可能性を持っているのだ。
IBMは最近、「MacBook」(「MacBook Pro」と「MacBook Air」)を週に1300台のペースで従業員に支給していると発表した。これは支給PCとしてMacBookを選択可能にするという、同社の従業員40万人を対象に2015年5月から実施しているプログラムの一環だ。初期の目標は、希望した従業員を対象に全社規模で5万台のMacBookを支給するというものだった。それからおよそ1年半の間に、9万台以上のMacBookが支給されてきている。同社のFletcher Previn氏によると、2016年中に10万台を突破し、世界最大規模のMacBook配備事例になるという。
10月18~20日にかけて開催された「Jamf Nation User Conference」においてPrevin氏は、IBMの73%の従業員が次のコンピュータとしてMacBookを希望していると述べた。MacBookの支給によって維持管理コストが低下したという実績を持つ同社にとって、これは望ましい展開と言えるだろう。同社は昨年、MacBookによって従業員あたりおよそ270ドルのコスト削減が実現されたと発表していた。そして今回のカンファレンスでは、4年間という使用期間で従業員あたり273ドルから543ドル(モデルによって異なる)のコスト削減が可能だと発表した。Previn氏は、「Windows」搭載PCの場合、サポートコール数は2倍、総コストも3倍になっていると述べるとともに、「このコストには、Microsoftから得られた過去最大の価格割引も反映されている」と付け加えた。
今回のイベントで使用されたアートワークは、初代のMacやiMacが発表された時を思い起こさせるものとなっている。
提供:Apple