三井住友銀行と日本マイクロソフトは、「The Microsoft Cognitive Toolkit」を活用した対話型自動応答システムの構築に着手したと発表した。
今回のプロジェクトでは、日本マイクロソフトのコンサルティング部門であるマイクロソフトコンサルティングサービスが中心となり、リサーチ部門の機械学習処理技術の成果であるThe Microsoft Cognitive Toolkit、また、Cognitive Servicesをはじめとする豊富なAPIサービスを活用することで、高度なAIソリューションの構築を図る。また、三井住友銀行で利用しているマイクロソフトのパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」に蓄積されるビッグデータを活用し、銀行の顧客への提案の高度化などの検討も進めていく。
The Microsoft Cognitive Toolkitは、Microsoft Researchが公開しているオープンソースの深層学習開発ツールキットで、自然言語などの深層学習モデルにおいて高い処理性能を実現できるとされる。Cognitive Servicesは、視覚、聴覚、声といった人間の自然なコミュニケーション手段による操作を可能にする機能群。画像や音声の認識、自然言語など、人間の“認知機能”をモデル化しており、外部のアプリケーションから機能を呼び出し利用できる。
本プロジェクトで構築するシステムの主な特徴は以下の通り。
- 深層学習モデルによって対話全体の文脈・意味をとらえることにより、質問の追加や変化にも対応が可能
- あいまいな質問に対しては質問の内容を具体的に絞り込むための聞き返しを行い、より的確な回答に導くことが可能(これまでは回答候補を絞り込むことができず、質問者の方から別の聞き方をする必要があった)
- 過去の質問・回答履歴を学習し、頻繁に役に立つと評価されている類似の質問・回答内容を提示することで、より早く回答に到達することが可能
- 回答は文章だけでなく、図や表を用いることでより分かりやすい回答の提示が可能
三井住友銀行では現在、電話やインターネット、有人オペレーターによるチャット受付、バーチャルオペレーターによる照会回答サービスなどを提供している。
今回のプロジェクトはデジタルトランスフォーメーションを推進する一環として位置付けられ、本件を通じて、より使いやすく、より利便性の高いサービスの実現を探求していくとのこと。
これまで行員が対応していた照会応答業務に、専門家と直接対話しているように迅速・丁寧・正確な応対を可能とする対話型自動応答システムを導入することで、従業員1人ひとりの生産性の向上や顧客へ提供するサービス価値の向上に取り組むとしている。