プレゼンテーションではステージ上にカフェを模したスペースを設営して、カフェラテをオーダーするデモから、顧客に扮した社員がTシャツを購入したり、ホテルの部屋のチェックインから支払いの一連のプロセスのデモなどを行った。Bedier氏は元Google Walletの開発責任者でその前はPayPalのシニアエグゼクティブという経歴の持ち主で、ペイメントに関する特許も多数保有しているほどのベテランと言っていいだろう。
業務用ターミナルとしては日本でもカシオやシャープ、NECなどが展開しているが、PoyntがユニークなのはAndroidベースのOSにセキュリティの強化や最適化を施している部分だけではなく、Poyntが開発したスマートターミナル用のソフトウェアの他にサードパーティのソフトウェアも稼働できようにしてあること、そのためのカタログとしてのマーケットプレイスも持っていることだろう。
つまりスマートフォンにゲームやビジネス用のアプリを入れるかのように、業務用ターミナルに機能を追加できるのだ。またターミナルそのものがWi-Fiのアクセスポイントとなっているところもユニークだ。
Poyntの顧客用画面の例。さまざまなカードやペイメントに対応しているのがわかる
今回は既存の2画面構成のSmart Terminalだけではなく最新機種であるPoynt 5のお披露目も兼ねたプレゼンテーションだった。Poynt 5はより小型されたスマートターミナルでEMV(VisaとMasterCardが決めたICチップ搭載クレジットカードの統一規格)と旧来の磁気ストライプ方式のクレジットカード読み取り装置、QRコード、バーコードスキャナなどを備えた5インチのスマートフォンによく似たターミナルだ。
最新の小型スマートターミナル Poynt 5
Poyntのスマートターミナルが優れているのは、既存のPOSシステムを置き換えるのではなく、追加することで付加価値を出せることだろう。この端末を1台129ドルで販売するという。実際にはキャンペーンとして期間や台数の制約などがあるということだが、スマートフォンとAndroidをベースとすることで、コストを抑えられるだろうことは容易に想像できる。また管理ツールとしてPoynt HQというデータ管理ツールがパッケージングされており、リアルタイムで売上などが分析できるという。
実際にBedier氏のプレゼンテーションとデモの後にPoyntのブースを訪れる来場者も多く、日本人の来場者も多く訪れていた。その数人と会話した際に、Poyntのターミナルの使いやすそうなこと、ユースケースが非常によく考えられていること、価格が安いこと、アプリを入れられることで将来性があること、などを評価するコメントが多かった。
日本ではサイゼリヤがiPod Touchをオーダー端末として利用していることが有名だが、アメリカのようにテーブルで支払う、チップを足すなどのユースケースを考えるとターミナルを顧客に操作させるPoyntのソリューションは合理的だろう。日本での展開も模索しているということでいつの日か、このターミナルを使ってレストランで支払いを行う場面に遭遇するかもしれない。
Money 20/20のPoyntブース