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藤本恭史「もっと気楽にFinTech」

消える決済と未来の姿

藤本恭史

2016-08-04 07:00

 こんにちは、PayPalの藤本恭史です。前回は、ユーザーエクスペリエンスの中で決済完了までのコンバージョンをいかに上げるか、“カゴ落ち”をいかに無くすか、ということを書きましたので、今回は“究極的にスマートな決済の姿”というのはどういうものなのかを考えてみたいと思います。

 FinTechから少し離れて、普段利用しているさまざまサービスの中で、ユーザーエクスペリエンスもビジネスモデルも洗練されていてとてもスマートだな、と実感しているものを1つ挙げるとしたら、それは「Avis Preferred」や「Hertz Gold Plus Rewards」のような会員制プログラムによるレンタカー利用です。日本にいるとなかなかこの良さが実感できないのですが、米国の空港など大規模なレンタカーファシリティがある場所ではこれらのプログラムは効果抜群です。


 まず第一にレンタカーを借りるのにカウンターに行く必要が無い。プログラム経由で事前に予約を入れておけば、登録されている好みの車種クラスに応じてあらかじめ車が用意され、カウンターではなく駐車場に直接行けば入り口の掲示板に自分の名前と駐車位置が提示されている(名前が表示されているのがちょっとだけ優越感も与えてくれます)ので、そのまま車に乗り込み、駐車場出口で運転免許証を提示するだけですぐに旅にGo!できます。

 保険の種類、ガソリンをプリペイドにするかどうか、利用するクレジットカードなど全て事前に会員登録に紐付けているので、車を借りるのに一切係員と会話することなく手続きが完了するのです。レンタカーカウンターの長蛇の列に並ぶ必要もなく、誰とも会話することなく、とてもスマートに車を借りて旅をすることができます。車の返却の際も、表示に従って返却場所に戻せば、さすがにこの時は係員が来ますが持っている携帯端末で車のバーコードを読み込み、登録情報と合致していればレシートをもらってそれで終了、です。登録クレジットカードをもとにバックグラウンドで決済は完了しますのでクレジットカードをその場で出すこともなく、サインの必要もなく、係員と会話する必要すらないと言っても過言ではないのです。超スマートです。

 このサービスの素晴らしさは、顧客が何を求めているかを徹底的に突き詰めて無駄なプロセスを排除した点にあります。顧客は何を求めているか、それはつまり、“一刻も早く車を借りて(返して)旅を続けたい”ということです。誰もカウンターに並びたくないし、難しい保険の選択に時間をかけたくありません。係員からの車や保険のアップグレードの提案に時間を費やしたくないし、空港に車を戻したら支払いに時間をかけずに早く空港内に行ってゆっくりしたいだろう、だったらそのプロセスを排除しよう、ということだと思います。

決済はもはや儀式のようなもの

 顧客のユーザーエクスペリエンスを中心に考えた場合、カウンターでの対面プロセスや対面での決済というのは、もしその他の手段によってスキップもしくは簡略化することができるのであれば、もはや儀式のようなものと言っても過言ではありません。

 決済の観点で言えば、ブティックで重要なのは自分の欲しい服を選ぶ時間であり、決してそのあと支払いのためにレジに並ぶ時間ではありません。レストランで重要なのは食事を楽しむ時間であり、食事のあとの支払いのために店員さんの処理が終わるのを待っている時間ではないということです。儀式を簡略化することでユーザーエクスペリエンスは格段に向上します。昔から、できる営業マンの接待は、お金を払っていることを相手方に気を使わせることなく会食の間にいつの間にか支払いを済ませ、二次会にスマートに誘導する、という感じですから(笑)

 ではFinTechの観点で、こういった儀式を簡略化し、素晴らしいユーザーエクスペリエンスを実現しているサービスは何でしょうか? その1つがUberです。

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