Fintechの正体

Fintechによる決済領域の新トレンド

瀧 俊雄

2015-11-17 07:30

 Fintechへの注目が続く中、そのジャンルの1つとしての決済は、米国でのPayPalやSquareの事例などをきっかけに大いに注目されてきた。今回はこのテーマに関する現状と展望を見ることとしたい。

 決済は、古くて新しいテーマである。Fintechにおいて、1998年に設立されたPayPalがそのトレンドを作った会社といえる。同社はそれまでの銀行において時間も手数料もかかる取引(特に米国における小切手文化)を代替した事例であり、さらに同社が電子商取引上の決済プラットフォームとしても発展してきた。2度のIPOや、もはや伝説化しつつある創業メンバー(Peter ThielやElon Muskなど)も含めて、同社はアイコン的なプレーヤーといえる。

 一方、ここ数年間では、決済分野では複数のメガベンチャーが台頭してきた。既存の決済チャネルの代替という側面に加えて、スマートフォンの活用とビッグデータ分析、開発におけるAPI化の普及という、技術的に重要なトレンドが、新たにその背景として浮上してきている。

 このトレンドを受けて、従来何らかの手続きや固定インフラが必要だった世界観が覆されつつある。以下ではその中でも、カード決済に係る事例を紹介したい。

スマホカード決済というジャンルの台頭

 クレジットカード決済では従来、利用するためにはインフラとしての専用通信や認証端末が必要であり、時間と固定費のかかることが一般的であった。しかし、そのインフラはスマートフォンを介した通信と、安価な小型端末へと代替されつつある。

 その最たる例は2009年に、Twitter共同創業者が設立したSquareである。同社はスマートフォンのイヤホンジャックにドングルと呼ばれる小型端末を挿入し、手元のクレジットカードを読み取るという、今や業界標準となるツールの普及に初めて成功したプレーヤーである。

 Squareはクレジットカード業界における加盟店向けサービスを展開し、支払い金額の一定割合(一般的に2~3%前後)から、個別のクレジットカード発行会社、VISAやマスターカードのプラットフォームに向けた手数料を引いた金額が収益となるビジネスモデルとなっている。

 なおSquareは、カード会社が加盟店に向けて行ってきた加入時の審査を不要とした点においても注目される。事前の審査ではなく、事後的なビッグデータ解析により、不適切な加盟店を除外するモニタリングへと切り替えたことで、中小企業や個人事業主にとっては、加入しやすい新たな決済手段が提供されることとなった。

 このような革新的なモデルをいち早く展開したことで、直近の資金調達時には60億ドル(約7500億円)もの時価総額が付され、10月14日には株式上場を申請している。

 スマートフォンによるカード決済の領域では、米国では他にもIntuit GoPaymentやPayPal Hereといったプレーヤーが参入しており、価格面を含めた激しいシェア争いを繰り広げている。日本でも同様に、米国からSquareが参入しているほか、国内勢でもCoiney、楽天スマートペイなどのプレーヤーがそれぞれの事業パートナーとともにシェアを争っている。

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