NECは、11月16日、次世代無線通信規格5Gの実用化に向けて、28GHz帯対応の基地局用超多素子アンテナシステムを開発したと発表した。
今回開発したシステムは、AAS(Active Antenna System)と呼ばれるもので、素子数は約500素子。多数のアンテナ素子を用いて同時に複数の方向に集中的に電波を飛ばすビームフォーミングを使い、高周波数帯の28GHz帯で16方向にそれぞれ最大1kmの長距離通信が可能となる。また独自技術により、従来比で、数10ワットの省電力化、50%の小型化を実現している。
28GHz帯対応の基地局用超多素子AAS
NECでは、同システムによって、4K、8Kの映像配信やAR、VRなどの普及に伴う、高速大容量通信サービスのニーズに対応できるとしている。高周波数帯の活用は、広い帯域幅を確保でき大容量通信に利用しやすいが、一方で、電波の減衰が大きいため長距離通信が難しい。NECでは、この課題に対応するため、複数の電波を束ねて長距離通信を実現するビームフォーミングを採用した。
長距離通信は、フルデジタル制御により、精度の高いビーム形成を実現したことで可能となった。NEC社内でのシミュレーションでは、16方向に最大1kmの長距離通信が可能になるだけでなく、通信エリアあたり30Gbps以上の通信速度、LTEと比較して通信エリアあたり20倍以上の高い周波数利用効率が確認されている。
また、NEC独自の実装・放熱技術によって、約5mm間隔でのアンテナ素子の実装と放熱経路が確保され、小型化も実現した。
NECはNTTドコモと共同で、5Gの実現に向けて、同製品を活用した実証実験を行う予定。