OSに堅牢なエミュレーション機能を搭載すれば、完全な解決策とは言えないまでも、この種の仮想化サービスの必要性を少なくとも理論的には低減できるはずだ。
筆者の情報筋らによると、ARM上でのx86エミュレーションを実現するこの「Cobalt」という機能は現在のところ、2017年秋に一般提供が開始されると複数の情報筋が述べている「Redstone 3」に搭載される機能の1つとして挙げられているという。2017年秋というのは、Windows 10が堅牢なエミュレータを実現するうえで必須となる仮想化機能を搭載する可能性のあるQualcommの「Snapdragon」プロセッサの新製品(「Snapdragon 830」プロセッサ、すなわち「MSM8998」という型番になるはずのもの)が市場に投入される時期と符合する。
筆者が聞き及んだところによると、Cobaltテクノロジはサーバではなく、スマートフォンと、おそらくはタブレットやデスクトップPCを対象にしているという。このため、ARM64上のx86エミュレータを搭載したデバイスの対象顧客はまず、x86ベースの業務アプリを実行するニーズを抱えている法人ユーザーになると筆者は考えている。
この考えが正しいとすれば、2017年遅くか2018年に「Surface Phone」が登場するという根強いうわさは単なる希望的観測以上のものだと言えるのだろうか?筆者はその答えを持ち合わせていないが、Microsoftが法人ユーザー向けのWindows 10 Mobileデバイスを完全にあきらめたわけではないという話はいまだに耳に入ってくる。そして、Windowsおよびデバイス部門の責任者も最近、筆者に対して「携帯電話接続とARMプロセッサの双方が、今後の技術展望を左右する重要な役割を演じる」と語っている。この言葉をどう解釈するのかは読み手次第だ。
筆者は、CHPEとCobaltに関するコメントをMicrosoftとHPの双方に対して求めた。HPの広報担当者からは、HPとしてコメントすることはないという答えが返ってきた。一方、Microsoftの広報担当者からの返答は「共有する情報は何もない」というものだった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。