ブイキューブにとってレノボとの協業は、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた製品展開もさることながら、レノボが販売も手掛けることが非常に大きなポイントといえる。ブイキューブにとってはまさしく巨大な販路を得たことになるからだ。
今回の協業は国内を対象にしたものだが、レノボはグローバル企業なので、国内で弾みがつけばグローバル展開に向けた協業に発展するかもしれない。その意味でも今後の両社の協業ぶりに注目しておきたい。
PwCコンサルティング 山本直樹 パートナー
「セキュリティ人材不足を補うためにテクノロジを活用せよ」 (PwCコンサルティング 山本直樹 パートナー)
PwC Japanグループが先ごろ、世界の企業経営層を対象とした「グローバル情報セキュリティ調査2017」(日本語版)について記者説明会を開いた。同グループの1社であるPwCコンサルティングでパートナーを務める山本氏の冒頭の発言は、セキュリティ人材不足の対策の1つとして述べたものである。
同調査は、世界133カ国の約1万人の企業経営層を対象に、今年4月から6月にかけてオンライン調査形式で実施したもので、日本の企業経営層から205人の回答も含まれている。会見では山本氏がその内容を説明した。
その中から、セキュリティ人材の不足に関する調査結果に着目してみると、まず専任のセキュリティ要員を雇用できている企業の割合は、「現在配備中」との回答として、グローバルが48%、日本は31%にとどまった。逆に「外注もしくは配備予定なし」との回答は、グローバルが39%、日本は56%に膨らんだ。(図1)
図1:セキュリティ人材の雇用状況(出典:PwC Japanグループの資料)
ただ、この結果はセキュリティ人材の不足だけでなく、グローバルと日本の企業において、セキュリティ対策への意識の差が表れているようにも受け取れる。
PwCではセキュリティ人材不足に対し、山本氏の冒頭の発言のように、テクノロジを活用することが解決策の1つだとしている。
そこで「マネージド・セキュリティサービス(MSS)」「クラウドゴンピューティング」「ビッグデータ」「高度認証」といった4つのテクノロジの活用状況を調べた結果によると、グローバルと日本では図2のような差が明らかになった。
図2:テクノロジ活用の状況(出典:PwC Japanグループの資料)
この結果については山本氏も「テクノロジの活用状況については、日本とグローバルで大きな差がある。日本の企業は人材不足を解消するために、テクノロジを積極的に活用していくべきである」との見解を示した。
それにしても、グローバルと日本においてこんなに差があるものか、というのが筆者の印象だ。これもやはり、グローバルと日本の企業におけるセキュリティ対策への意識の差が浮き彫りになったものともいえる。
とはいえ、セキュリティ人材が不足しているのは歴然だ。企業として人材をどのように確保していくか。また、人材不足を補うためのテクノロジの活用をどう進展させていくか。まさしく喫緊の課題である。