IBMはニューヨークのメモリアルスローンケタリングがんセンターと長年提携しており、自社のコグニティブコンピューティングの能力をメラノーマの診断技術向上に役立てようとしている。
IBMの研究科学者チームはコンピュータビジョン技術のテストを行っている。この技術は将来的に皮膚がんをより効果的に診断できるツールを医師に提供する可能性を秘めている。先頃提出されたレポートで、同チームは同社のシステムについて、専門医と同等の精度でメラノーマを認識できるようになったことを発表した。
後期メラノーマがいかに致命的であるかということを考えると、患者や医師に優れた診断ツールを提供することが、公衆衛生や医療コストに非常に大きな影響を及ぼすかもしれないとIBMでコグニティブコンピューティングとコンピュータビジョンを研究するNoel Codella氏は米ZDNetに述べた。
IBMが目指しているのは、コンピュータビジョンを利用して、ダーモスコピー画像の分析を専門医に代わって行うことだ。医師や看護師はスマートフォンやカメラに接続されたダーモスコープを使って患者の患部を撮影し、それをクラウドベースのアナリティクスサービスに送信して、詳細なレポートを受け取ることになる。そのレポートには、医師がメラノーマの診断を行う際に役立つ信頼度指標や、患者のリスク特定に効果的な、患部のビジュアルパターンなどのデータも含まれるかもしれない。
Codella氏はこのツールを血液検査にたとえた。言い換えると、それは「診断そのものを提供するツールではなく、医師が診断を行うのを支援するツール」である。
IBMの研究チームは現在もアルゴリズムの改善に取り組んでおり、このシステムがどの時点で臨床的に有用になるかを見極めようとしている。現在、製品の開発に関する「明確なタイムライン」は設定していないとCodella氏は述べた。何よりもまず、同チームには、もっと多くのデータが必要だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。