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希少な疾患を診断する医師を「IBM Watson」で支援

Jo Best (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-11-21 06:30

 「必要なのはより多くの医師ではなく、より強力なITの力だ」

 医療関係者にしては議論を呼びそうな発言だが、これが希少な疾患や未診断疾患を専門に扱うセンターを率いる医師の発言だとすればなおさらだろう。ドイツのマールブルクにある大学病院で、診断が難しい症例に取り組むセンターの責任者を務めているJurgen Schafer氏は、これまで解決が困難な問題に取り組んできた。

 しかしドイツで名医として知られるSchafer氏は現在、多くの医師を悩ませてきた病気を診断する仕事ではなく、別の難しい課題に取り組んでいる。その問題とは、長く複雑な既往歴を持つ多くの患者を、いかに新たに医療チームを組織せずに治療するかというものだ。

 その答えが、IBMのコグニティブコンピューティングシステムである「Watson」だ。米国のクイズ番組「Jeopardy!」で人間のチャンピオンに勝利してから間もなく、Watsonは医療業界に投入され、がんの診断から糖尿病の分析まで、さまざまな医療の課題で使用されてきている。

 マールブルク大学病院の希少・未診断疾患センターは、医師がそれまでの臨床経験で一度も遭遇したことがないような症例を診断する際に、Watsonで診断を支援できないかを検討し始めている。

 同センターにやってくる患者は、それまでに何十人もの医療関係者の手を経てきており、非構造化データ(レントゲン写真、各種検査結果、医師の所見、スキャンデータなど)が大量に含まれる、厚さが何センチもあるような分厚い医療記録を携えている場合が多い。その記録に含まれている、診断の手がかりになる可能性のある情報をすべて徹底的に調べるだけでも、何日もかかる場合がある。

 「センターに来る患者の情報は非常に複雑で把握が難しく、資料を読み込むだけでも数日かかってしまう」とSchafer氏は言う。「紙に書かれた大量の情報を何日も、何週間もかけて調べる古いやり方を続けるのを避けるには、ITを活用して所見をふるいにかけ、情報を引き出す新たなシステムを作るしかないのは明らかだった」


IBMの「Watson」を使用して、大量にある医療記録から適切な情報を選び出し、医師が珍しい疾患を診断する作業を支援する試みが進んでいる。
提供:Mark Levant, Getty Images/iStockphoto

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