IBMのWatson Health、米国糖尿病学会と提携--認知アプリやアナリティクスで

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-06-13 11:04

 IBMのWatson Healthと米国糖尿病学会(ADA)は米国時間6月12日、臨床データおよび研究データの分析で複数年にわたって提携していくと発表した。その目的は、糖尿病をより上手に管理していけるようにするところにある。

 この提携は、ニューオーリンズで開催されたADAの第76回年次学術集会で発表された。その目標はデータを活用し、医師や研究者、患者のための認知アプリケーションを構築することだ。

 Watson HealthとADAはこれまで、30万人の患者の記録を分析し、転帰や病態をモデル化するとともに、病状を管理するために協力してきている。

 IBMによると、現場では約2年間にわたって「IBM Watson」のAPIが使用されてきているという。

 今回の提携に加えてIBMは、1月に披露した認知アプリの次なるステップに向けた概要を発表した。Watson HealthはNovo Nordisk、Medtronic、CVS Healthと連携して糖尿病患者向けのアプリを開発している。

 提携に関する話題として以下の内容も発表されている。

  • MedtronicとWatson Healthは、「SugarWise」という認知アプリの概要を説明した。最終ベータ版となったこのアプリは、グルコースモニタからのデータを分析してパターンを検出するようになっている。これにより糖尿病患者の日々の生活を支援することが目的だ。SugarWiseは2016年9月に限定的にリリースされる予定になっている。MedtronicとWatson Healthは共同で、Medtronicのインスリンポンプによる投薬量を自動的に調整するシステムを開発中だ。
  • デジタル医療機器を手がける新興企業HelpAroundは、患者の疑問や支援要請にリアルタイムで応えるための患者コミュニティー向けモバイルプラットフォームに、Watsonの「Personality Insights」や「Tone Analyzer」の機能を組み込んでいるところだ。これにより同プラットフォームは、個々の糖尿病患者に合わせたより良いカスタマイズが可能になる。
  • IBMはイスラエルの大手保険機関であるMaccabi Healthcare Servicesと共同で、糖尿病を管理するためのモデルとツールを開発している。その目標は、機械学習を活用して患者の記録を分析し、オーダーメイド治療を実現するというものだ。

 IBMの目標は、Watsonを訓練し、糖尿病に関するデータの理解と、アドバイスの提示を可能にするというものだ。Watsonのリポジトリには、66年分のデータ、すなわちADAが保有している健康状態やサポートグループ、管理、教育についての情報が蓄積される。

 WatsonとADAの協力によって最終的に、医療関連のエコシステムがパターンだけでなく治療方法を見つけ出すために活用できる、クラウドデータと、洞察に向けたサービスが実現されるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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