2016年11月第3週、Microsoft主催の年次イベント「Connect()」が、ニューヨーク市のホランドトンネル出口近くにあるイベントスペースで開催された。Connect()では、「Visual Studio」やアプリケーション開発スタックが話題の中心になることが多い。しかし、ホランドトンネルがマンハッタン島南部とニュージャージー州のジャージー市を結んでいるように、今回のConnect()は、開発スタック関連の発表を「Microsoftデータプラットフォーム」に関する多くの発表と結びつけるものだった。
Microsoftは、データプラットフォームのコンポーネントの中でも開発者業界との結びつきがもっとも近い「SQL Server」に関する大きな発表を2件行った。しかし同社はまた、ビッグデータとアナリティクスに関する発表も行っている。具体的には、「Azure Data Lake」、「R Server」、「HDInsight」、「Apache Kafka」に関するものだ。
SQL Server
まず、ビッグデータ関連の最重要アプリケーションであるSQL Serverについての話題から始めよう。SQL Serverは、ますます魅力を増しつつある。その理由は次のようなものだ。(1)SQL Serverの「vNext」版にCommunity Technology Preview 1(CTP 1)が公開されたが、その一環として、Linux上で実行可能な初のSQL Serverがパブリックプレビューとして公開された。(2)「SQL Server 2016 Service Pack 1(SP1)」のリリースに伴い、Enterpriseエディションでしか利用できなかった魅力的な機能のほとんどが、Standard、Web、Expressを含むあらゆるエディションで利用可能になった(条件付きではあるが、これにはアプリケーションに組み込み可能なバージョンであるLocalDBも含まれる)。
以前、Linux版SQL Serverのプライベートプレビューに関わった人間としては、誰もがこれを試せるようになったことを嬉しく感じる。Linux版のSQL Serverには、中核的なリレーショナルデータベースエンジンしか持っておらず、「Reporting Services」、「Analytics Services」、「Integration Services」などの追加的なコンポーネントは含まれていないが、それでもなお、これは同製品の完全な実装であり、サーバ上で直接実行することも、Dockerコンテナ内で実行することもできる。Linux版が対応しているディストリビューションは、「SUSE Linux Enterprise Server」、「Ubuntu」、「Red Hat Enterprise Linux」だ。
Windows版と同じように使えるLinux版SQL Server
Linux版SQL Serverでもっとも注目すべきは、一度インストールして動作してしまえば、まったく注目すべき点がないという点だろう。これはつまり、一部のLinux用コマンドラインツールこそ違っているものの、アプリケーションからサーバやBIツール、(Windowsベースのツールである)「SQL Server Management」を使っている限り、Windows版と事実上まったく同じように使えることを意味している。これは拍子抜けと言ってもいいほどだ。