2017年、東京オリンピックまであと3年という中で浮かれる人たちも多いようだが、一方で明日が不安な人も増えているのではないだろうか。
AIが仕事を奪う?
AIという言葉は、今では新聞に毎日のように掲載されている。AIがArtificial Intelligenceの略語で、人工知能のことであることは多く知られているが、それが普及してくることで、われわれにどのような影響があるのだろうか。
2016年に「管理部門がなくなる時代--そして情報システム部門がなくなる時代」というコラムを書いたところ、賛否両論を交えて多くの意見をいただいた。その中には熟考された深い意見があった一方で、現在の仕事がなくなることへの不安を訴えたものもあった。
筆者の知り合いの建築会社では、外国人労働者が来ると自分たちの仕事がなくなる、と不安に感じる人が多いと聞いたのだが、それはホワイトカラーにも充分に言えることなのだ。外国人労働者ではなく、AIという知能労働者が入ってくることで、業務によってはわれわれよりも速く正確なアウトプットを出せるようになる。ともすると高給取りと言われる人たち、例えば銀行員の仕事さえなくなる可能性があるのだ。
銀行員が不要になる明確な理由
2015年初頭、米国のニュースサイトに掲載された「現金、小切手帳、クレジットカード、およびATMはなくなっていく」という記事が大きく話題になった。日本では小切手はさほど流通していないが、クレジットカードはかなり普及している。筆者も、クレジットカードなしには生活できないほど利用している。
しかし、物理的なクレジットカードは、すでにiPhone 7およびApple Watchの中に入っており、それらで支払いをする機会が増えた。クレジットカードではないが、JR東日本のSuicaも筆者のApple Watchに入っているので、電車の自動改札やコンビニの店頭では、腕をかざすのが日常化している。
これにより、現金を使う機会もどんどん減っている。もちろん、現金ではないといけない場面もあるが、激減しているのは事実だ。現金の取り扱いが減ると、当然ATMが不要になる、という理屈になってくる。
最近は、わざわざ銀行のATMに行かなくてもコンビニにATMがあるので、そこでお金を下ろす人が増えている。以前は、自分が口座を持っている銀行のATMなら無料という理由で、わざわざ銀行まで出向いていた人たちも、最近は時間外には入金を含めて手数料を支払わなければならない銀行が増えた。一方で、コンビニのATMは入出金の額によっては手数料無料というものがある。例えば、ジャパンネット銀行に口座を持てば、セブンイレブンなどのコンビニおよび郵便局では、3万円以上の入出金は手数料無料だ。であれば、コンビニに買い物に行くついでにお金を下ろせばいい。わざわざ、大きな銀行に口座を持つ必要すらなくなっているのだ。
また、先述のようにiPhone 7などのクレジットカード活用により、この現金すらあまり入出金しなくてもよくなってきている。筆者もATMを使う機会は明らかに減ってきている。
こうなってくると、筆者が新卒の頃には勝ち組と言われた銀行員の存在意義すら危うくなってくるのは当然といえる。