新興テクノロジの普及拡大が新たな形態のサイバー攻撃を引き起こしており、企業が不測の脅威にさらされていると世界経済フォーラム(WEF)が警告した。
WEFは「Global Risks Report 2017」(グローバルリスク報告書2017年度版)の中で、政情不安から気候変動まで、世界が2017年に直面する重要な課題の数々を詳しく説明し、テクノロジの変化に伴うリスクに社会が対応できていないことを指摘した。
新しいテクノロジは世界に多大な恩恵をもたらす可能性を秘めるが、生産性と効率性の名の下に、より多くの企業、産業、および消費者向け端末をインターネットに接続する慣行などによって、潜在的な侵入経路が増加し、ハッキングやデータ侵害のリスクも高まると報告書は指摘している。
Marsh Global Risk and Specialtiesのプレジデントを務めるJohn Drzik氏は報告書の発表イベントで講演を行い、「AIやIoTのような新しいテクノロジは、データの窃盗やビジネスの破壊、産業制御関連への攻撃を企むサイバー攻撃者に、より大きな攻撃対象の領域を作り出している」と述べた。報告書は、現実になってしまう可能性が高いリスクのトップ10にデータ侵害とサイバー攻撃の両方を挙げている。
Drzik氏は、「同時に、セキュリティ専門家たちは、ならず者国家やテロリストが将来、AIやロボティクスを武器化することやグローバル衛星システムがハッキングされる可能性もしっかりと視野に入れている」と述べている。
2016年の報告書では、サイバー攻撃が北米でビジネスをする上での最大のリスクとして挙がった。2016年にも重大なデータ侵害やサイバー攻撃、ハッキングが多数発生したため、世界中でサイバーセキュリティインシデントに対する懸念が高まっているようだ。
2017年の報告書では、米国やドイツ、日本、スイス、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、アラブ首長国連邦などの企業幹部が、企業の直面する最大のリスクとしてサイバー攻撃を挙げた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。