第3回となるIoTセキュリティに関する本稿では、ハードウェアとソフトウェアの両方の側面から見たデバイスのセキュリティについて述べる。
ハッカーにとって、コネクテッドデバイスは関心の高いターゲットだ。メディアにもさまざまなニュースが躍る。例えばセキュリティリサーチャーによる自動車のハッキングの実証実験から、放射線医療機器やX線装置をはじめとする医療機器へのマルウェアの感染。さらにはさまざまなデバイスの脆弱性を露呈するインシデントや、ベビーモニターシステム、CCTVシステムなどのオンラインカメラに対するブルートフォースアタック(総当り攻撃)、辞書攻撃に関するインシデントなど、2015年私たちはセキュリティに関する多くの記事を目にした。
結局のところ、コネクテッドデバイスのセキュリティ強度は、そのデバイスのコンポーネントすなわちハードウェアと内蔵のソフトウェアによって決まる。個々のコンポーネントのセキュリティが十分でなければ、デバイスは容易に悪意ある攻撃や不正アクセスのターゲットとなり、サイバー犯罪者やハッカー、ならず者国家さえもデバイスの改変やコントロール、個人データの収集、会話の盗み聞き、カメラの盗み見といったことが可能になる。
上記のインシデントは、ハードウェアとソフトウェアに信頼を組み込むことで避けることができただろう。セキュリティの分野では、従来の境界ベースのコントロールとネットワークセキュリティではIoTシステムのセキュリティを十分に確保できないという、共通のテーマが繰り返されている。
膨大な数のIoTデバイスは組み込み型のデバイスであり(特に産業分野)、一般的な製品のライフサイクルは10~15年だ。IoTのセキュリティは、ハードウェアとソフトウェアがデバイスとその利用者をセキュリティ下で認識し、両者が管理、共有するデータを保護しているということを、利用者が信頼できるかどうかによって決まる。
このようなセキュリティを実現するためには、設計の段階からセキュリティを想定してデバイスとシステムを構築する必要がある。しかし、製品を短期間で市場に投入することを優先するために、残念ながらこの点が見過ごされてしまうこともよくあるのが現実だ。