ベイン・アンド・カンパニーとブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズは2月9日、分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology:DLT)に関する調査結果を発表した。
これによると、DLTの与える影響及および導入時期は4つの市場タイプによって異なることが分かった。
まず、日本や中国などの国内主体の大規模かつ複雑な市場では、DLTが現物株式取引の構造をさらに統合するとした。また、欧米などのフィナンシャルハブ機能を担う市場では、DLTは複数の取引所から成り立つ市場のさらなるアンバンドル化や細分化を促進する。
次に、オーストラリアやカナダ、ブラジルなどの国内主体の小規模かつ簡素な市場においては、DLTは現物株式取引に最も早期にその影響が表れるとし、包括的にDLTが発展するという。シンガポールや香港などの小規模だがフィナンシャルハブ機能を持つ市場では、現物株式取引の統合管理が続きそうだが、デリバティブやOTC(Over The Counter:売り手と買い手が取引所を通さず当事者間で行う取引)においては、一層グローバル市場を意識したDLT利用が進むとしている。
なお、同調査によると、グローバルの金融市場エコシステムにおける年間のランニングコストと資本コストの削減額は合計で150〜300億ドルと推定されるとし、80%以上の回答者が、清算や決済に与えるDLTのインパクトは革新的であると想定しているという。また、回答者の多くが、DLTは2020年までに自社に導入されると見込んでいる。
しかし、40%もの企業がDLTの導入に関して様子見の姿勢をとっていることも明らかになった。これに対し、同レポートでは、より効率的なエコシステムに向けての推進や、自社の市場における立ち位置(何者で、何をどこでしているのかなど)の見極め、それに基づいた整合性のとれた長期的な戦略によって、「後悔のない投資」を識別することが可能だとしている。