「工場のデータを可視化するIoTシステムを1カ月で導入し、使い方を模索しながらデータの活用方法などを探っていけるように、サーバ機、工場向けIoTソフトウェア、導入支援サービスをセットにした導入パッケージを用意した。工場側に置いたサーバ上でデータを可視化するエッジコンピューティングの環境を構築する」
日本システムウエア(NSW)、PTCジャパン(PTC)、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の3社は2月23日、工場向けのIoT導入パッケージ「ファクトリーIoTスモール・スターター・パッケージ」(図1)の提供を開始した。
図1 ファクトリーIoTスモール・スターター・パッケージの概要。サーバ「HPE Edgeline EL1000 Converged IoT System」に工場向けIoTソフト「ThingWorx」を導入し、導入支援サービスと組み合わせて提供する
価格は月額50万円から。データを取る環境は整っているものの、何のデータを取って何を可視化すればいいか分からないユーザーが主な対象で、想定する企業規模は年商1000億円以上。販売目標は10社。
工場用のIoTシステムに適したHPEのPCサーバ「HPE Edgeline」に、PTCの工場向けIoTソフト「ThingWorx」の基本機能を導入し、NSWによる導入コンサルティングと開発者向けトレーニングを合わせてパッケージ化した。別途オプションで、各種のデバイスやデータソースに接続できる通信ミドルウェア「kepware KEPServerEX」や、リモートVPNサービス、リモート監視サービスなども提供する。
設備の稼働ログなど、工場内のデータをリアルタイムに可視化できる環境を構築する。データを工場外に持ち出すことなく、工場設備に近い場所でデータ処理/可視化する“エッジコンピューティング”型のシステムを導入する。
NSWによる導入支援では、サーバ環境構築や実機接続作業のほか、カスタマイズベースの個別テンプレート作成、データ取得支援(1カ月)、技術者向けトレーニング(1日)、ヘルプデスク、技術問い合わせサポート(1年)を提供する。「収集するデータを決めるところから入って、1カ月で導入できる」(NSW)としている。
PoV(Proof of Value)で仮説検証のスパイラルを回せる
日本システムウエアでITソリューション事業本部ビジネスイノベーション事業部長を務める竹村大助氏
「工場でIoTを活用する際には課題がある。何から始めたらいいか分からない。ROIが見えない。セキュリティへの不安がある」。工場向けIoT導入システムをパッケージ化した背景について、NSWでITソリューション事業本部ビジネスイノベーション事業部長を務める竹村大助氏はこう説明する。
課題解決のためには、「まずは小さく初めて実績を積み上げていくことが重要」(竹村)という。これを支援するためにパッケージを作ったという。「PoC以前に、IoTの価値が見えていないので、PoV(Proof of Value)の環境を提供する。仮説を検証してROIを判断するというスパイラルを回す」(竹村氏)