「デジタルコマースではカスタマー体験が重要だ。ウェブ上では同じような商品を複数のショップで買えるからだ。価格勝負は難しい。コンシューマライゼーションも重要で、B2CだけでなくB2Bでもカスタマー体験が求められる」ーー。
「ガートナーカスタマー360サミット2017」の1セッションとして2月21日、ガートナーのリサーチ部門でリサーチディレクターを務めるペニー・ギレスピー氏が登壇。「デジタル・コマース2020: 明日の売り上げをもたらすトレンドのトップ10」と題して講演した。

ガートナー リサーチ部門 リサーチディレクター ペニー・ギレスピー氏
ギレスピー氏がデジタルコマースの顧客に提案していることは2つあるという。1つは、競合他社が何をやっているかを知ること。もう1つは、業界外で起こっているイノベーションを見て、それが自分の業界にどう影響するかを考えることだ。
2015年9月の「カスタマー360サミット」で実施した調査によると、「組織は、デジタルコマースの変化のスピードに追い付けると思いますか?」という問いに対し、「はい」と答えた人は30%、「いいえ」と答えた人は70%だったという。追従できていないと考えている企業が多いことが分かる。
現在、世の中を見渡すと、モバイルアプリケーションで顧客とつながり、顧客はアプリを介してピザを発注できるようになっている。SNS上にも商品を買うボタンがある。物理店舗の定義も変わってきており、オンラインで購入して店舗で受け取る形態や、在庫を持たない店舗で商品を発注する形態が登場した。
こうした中、企業はマルチチャネル戦略を見直す必要があるとギレスピー氏は言う。デジタル世界のトランザクションは増えており、「2017年までに小売の売り上げ全体の25%を、ECサイトやモバイルコマースが占めるようになると言われている」(ギレスピー氏)
法人顧客のコンシューマライゼーションの要求も高まる。例えば、EDI(電子データ交換)において、在庫がリアルタイムに分かるといったことが求められるようになるという。こうした機能を実装していくことによって、競合他社に勝てるようになるという。
ギレスピー氏は、ガートナーの提言として、コンシューマライゼーションに関する「戦略的プランニングの仮説事項」を紹介。その内容は、「2018年までに、B2Bのデジタル・コマース・サイトをコンシューマライズする企業は、市場シェアを拡大し、最大25%の売上増を実現する」というものだ。