日本情報システムユーザー会(JUAS)が2月下旬までに順次発表した「企業IT動向調査2017」(速報値)によると、ユーザー企業は2017年度も積極的なIT投資を継続すると予想されている。特に経営課題となっているビジネスのデジタル化や情報セキュリティは、どうなるのだろうか。
まず2016年度比でみた2017年度のIT予算の増減予測は、「増加」が34.0%、「不変(前年度並み)」が49.7%、「減少」が16.3%。「増加」するとした企業は前回調査に比べて9.6ポイント下がったが、「減少」も1.7ポイント下がり、2017年度もIT投資の積極姿勢が見て取れる。
2017年度IT予算の増減 (2016年度比の増減予測)、出典:JUAS
IT予算を増加する割合から減少する割合を差し引いた「DI」の全体値は、17.7ポイントだった。売上高別では、100億円以上・1000億円未満の企業のDIが20.7ポイントで最も高く、100億円未満が18.6ポイントで続く。一方、1兆円以上は6.1ポイントで前回調査の16.7ポイントから下がった。2017年度は中堅・中小企業を中心にIT投資の活発化が予想される。
また業種別では、建築・土木の39.5ポイントが最も高く、最小は金融のマイナス21.1ポイントだった。建築・土木では26.6ポイント上昇し、金融では68.2ポイント下降した。建築・土木では首都圏を中心とする不動産市場の好況が追い風になっているとみられている。
業種グループ別 2017 年度IT 予算の増減予測 (2016 年度比)、出典:JUAS
IT投資で解決したい課題では、過去の調査と同様に「業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)」と「迅速な業績把握、情報把握(リアルタイム経営)」の2つが目立っている。