日本ヒューレット・パッカード(HPE)は4月11日、無停止が要求されるミッションクリティカルシステムを仮想化環境に構築できるソフトウェアの新製品「HPE Virtualized NonStop」を発表した。
新製品は、同社のフォールトトレラントシステム製品「HPE Integrity NonStop」シリーズで利用されているOSやサーバ、データベース、運用管理ツールなどをソフトウェアで提供するもの。同社の無停止システムは、Intel ItaniumやXeonプロセッサを採用するハードウェアと一体になったハイパーコンバージド製品で提供されているが、新たにソフトウェア版を提供することで、オンプレミスやプライベートクラウドの仮想化環境にミッションクリティカルシステムを構築したいという企業ニーズに対応する。

「HPE Virtualized NonStop」の概要
HPE Virtualized NonStopは、Linux KVMとOpenStack上の仮想マシン上で動作し、今後はVMware vSphereやMicrosoft Hyper-Vへの対応も計画している。異なる仮想CPUの複数のマシンでプライマリとバックアップのプロセスを実行させる「プロスペア」と呼ぶ独自技術により、プライマリに障害が発生してもバックアップへ瞬時に切り替えることで、処理を中断することなく継続できるとしている。
また、OLTPプリケーション向けリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)ソフトの最新版「HPE NonStop SQL/MX 3.5」も併せて提供する。SQL/MXは、ANSIに準拠して多くのRDBMS製品との互換性を確保しており、最新版ではOracleのPL/MXをサポートしたほか、マルチテナント機能も搭載した。今後は互換性やマルチテナント対応を強化し、インメモリデータベースへの対応も計画。HPEでは2016年からSQL/MXを使って、2万5000以上のデータベースインスタンスを自社のPaaS環境に移行する作業を進めているという。

OpenStackやLinux KVMなどオープンソースのインフラ上で動作する
HPE Virtualized NonStopの価格は、エントリークラスの最小構成(2CPU・1コア、ソフトウェアライセンス3年分)で635万6400円から。最大16CPU・6コアまでの構成や4年以上のソフトウェアライセンスといった利用形態に応じたラインアップをそろえる。
記者会見したデータセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部長の本田昌和氏によると、高可用性が求められるミッションクリティカルシステムでもクラウド化や、データ活用に向けたアナリティクスへの対応などが求められつつある。

データベースの継続的な強化によるアナリティクス用途にも対応していくという
またミッションクリティカルソリューション製品本部 担当部長の富田浩次氏によると、新製品はプライベートクラウド環境を利用したミッションクリティカルシステムのバックアップ用途がまず見込まれるが、通信事業者などでは基幹ネットワークの管理などで仮想化ニーズが出ているといい、欧州の通信事業者が新製品の検証に着手しているという。