デジタルアーツは5月8日、セキュリティソフトウェア製品の最新版となるウェブセキュリティの「i-FILTER Ver.10」とメールセキュリティの「m-FILTER Ver5」を発表した。両製品の連係動作が特徴で、9月19日に発売する。
代表取締役社長の道具登志夫氏
同日記者会見した代表取締役社長の道具登志夫氏は、最新版製品からサイバー攻撃対策ソリューションの提供を本格的に開始すると表明。これまでは両製品を内部情報漏えい対策ソリューションと位置付けていた。サイバー攻撃対策機能は部分的に備えていたが、これをより明確に打ち出す。
富士キメラ総研の調査によると、デジタルアーツがi-FILTERを展開するウェブフィルタリングソフトの市場規模は、2015年時点で82億円だった、これに対して外部攻撃対策製品の市場規模は同514億円だった。道具氏は、「今後も拡大が見込まれる外部攻撃対策製品の市場に進出する。この分野にはまだ有効性の高い対策が無く、チャンスはある」と話した。
同社が進出を目指す分野には、ネットワークセキュリティを中心に多数のベンダーが参入済み。このため2製品の連係動作と機能強化で、競合との差別化を図るという。
具体的には、m-FILTERが検査した受信メールに含まれるURLをi-FILTERのデータベースに登録し、i-FILTER側で安全性が確認されていないウェブへのアクセスを遮断したり、ユーザーに警告したりできるようにする。またi-FILTERでは、安全性の確認ができる海外サイトのカバー率を100%近くにまで高め、有償オプションとして提供する。
ウェブセキュリティソフトとメールセキュリティソフトの連係で外部攻撃対策を強化する
マーケティング部 i-FILTER課長の遠藤宗正氏によると、国内については検索サービスで検索可能な約40億件のウェブサイトについて同社が安全性を確認し、100種類以上のカテゴリに分類。分類可能なウェブサイトのほぼ100%をカバーしているといい、海外サイトも同様の水準に引き上げる。同社は、分類が不可能なものや検索に現れないものは、不審もしくは危険なウェブサイトとみなして、遮断や警告の対象にする運用を推奨している。安全性を確認したウェブサイトの情報はクラウド経由でも提供し、ほぼ100%の状態を維持していくという。
この他にもm-FILTERの最新版では、Sender Policy Framework(SPF)をもとにした独自の送信ドメインチェック機能やリンクタグ偽装など不正なURLの判定機能、添付ファイルのマクロ無効化機能などが追加される。
最新版製品の価格は未定だが、道具氏は販売後1年間で10億円の売上目標を掲げる。発売日を9月19日としたのは、「クイック」と覚えやすい語呂合わせになることや、同社がジャスダックに上場したのが2002年9月19日だったためと説明した。
最新版で安全確認が可能なウェブサイトのカバー率を海外でも100%近くに引き上げるという