「ハッカーは目的達成のために、これらの強力なツールを使うことができる。これが、今回の事件が与えるもっとも大きな影響だろう」と同氏は付け加えている。
WannaCryによる新たな感染は徐々に減少しているようだが、強力なランサムウェアのコードが自由に入手できることは、必然的に将来の攻撃につながる。特に、これから攻撃者になろうとしている者たちが、自分は絶対に捕まらないと思い込めば、その可能性は高まる。今回の攻撃を引き起こした犯人が発見されれば、状況が変わる可能性もあるが、現時点ではその可能性は低そうだ。
「誰かが攻撃を実行した人物を特定し、被害を引き起こした罪で起訴されることを示せれば、影響があるだろう。しかし、サイバー犯罪は罰せられないと思われてしまえば、この種のサイバー脅威は今後も続く」とGen氏は言う。
WannaCryは攻撃者の収益という観点では失敗だったかもしれないが(身代金を支払った被害件数は300以下で、1週間で10万ドル以下の収益しか得られなかったとされている)、WannaCryの流行は、一般の人々にも、そしておそらくサイバー犯罪者の間でも、ランサムウェアの認知度を高めた。
ランサムウェアはすでに大きな成功を収めており、2016年だけでも10億ドルもの身代金が支払われているが、これは単純に攻撃が効果的だからだ。被害者は、暗号化されたファイルを取り戻すために身代金を支払う。
「被害者が身代金を払い続けることは、金を払って次のランサムウェアを買っているのと同じだ。被害者が身代金を支払わなくなれば、ランサムウェアは止まる。身代金の支払いを止めるまでは、攻撃は増え続けると考えていいだろう」とBalmas氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。