ものづくりのためにクラウドを活用--セイコーエプソン
確立された企業としてはもう1社、セイコーエプソンもクラウドによりビジネスイノベーションを図っている。
自社のAWS活用について話したセイコーエプソン IT推進本部 本部長の熊倉一徳氏は、創業1942年のメーカーがどうしてクラウドを採用するのかについて、「顧客にこれまで以上の感動や喜びを提供するにはサイバーで価値を提供する必要がある」と説明する。「我々はDNAである省・小・精(省エネ、小型化、精密)の価値を徹底的に磨き上げる」と、ものづくりという既存の価値は変わらないという。
セイコーエプソン IT推進本部 本部長の熊倉一徳氏
同社は現在、2013年から2017年までの中期IT基盤戦略を進めているところだ。基本的な考え方は、クラウドファースト(Cloud First)とファスト(Fast)。Amazon EC2/RDSを中心にサーバマイグレーションを進めた。現在、サーバレスアーキテクチャへのマイグレーションに着手したところだ。「クラウドのメリットを最大限に生かせることにチャレンジする」という。
最初のマイグレーションではデザインパターンを変えずに移行した。
経営陣を始め、クラウドに対して抵抗があったというが、「成果が出てくると支持が得られる。これがクラウドの面白いところ」と熊倉氏。費用20%減などを達成したが、実はビジネス側が一番喜んでいるのは「スピード」という。「環境を用意するスピードの速さが圧倒的」と熊倉氏。このような成果を示しながらスパイラルアップで進めてきたが、今後は「要件に適合する最適な動的ITインフラを提供し、ビジネスイノベーションを支える」と取り組みを展望する。
現在はデジタルイノベーションに向けたクラウドの活用を進めている。
最後に熊倉氏はAWSへの期待として、「クラウドをリードしてほしい。自分たちがものづくりを極めるにあたって、我々がスピード感を上げられるようなことを業界全体で推進するイノベーターであり続けてほしい」と語った。