三菱UFJフィナンシャル・グループ 執行役専務グループCIOの村林聡氏
数年前からデジタルトランスフォーメーションのための取り組みを進めているという村林氏、同社が取るのは「オープンイノベーション」だ。「レガシー企業なので、自社だけではトランスフォーメーションは起きない」と村林氏は語る。
オープンイノベーションで進めているものとして、村林氏はMUFG API、ブロックチェーン、AI(深層学習)などを挙げる。例えばMUFG APIは、フィンテックなどのベンチャー企業やクラウドベンダーにAPIを提供することで、一緒にサービスを作っていくことを狙う。「積極的に取り組んでいる」というAIについては、銀行業務がどのぐらいAIにリプレースされるのかを分析したところ、「7年後本部業務の4割はAIで置き換え可能」という結果になったという。ここではAlpaca、IBMなどと取り組んでいるとのことだ。
MUFGのオープンイノベーション戦略。これまでの成果として、AIを利用した決算分析レポートの作成、行員限定でのMUFGコインの運用などを挙げた。
このようなオープンイノベーションの必須技術となっているのがクラウドだ。村林氏は、「スピードアップの観点からAWSクラウドを使っている。ポリシーとして、AWSクラウドをプラットフォームの1つとして推進している」と重要性を説明する。
活用にあたっては、1)クラウドにふさわしい制約が厳しすぎないガバナンス、2)クラウドの検証・導入コントロールの実施、3)クラウドの特徴を生かした単一サービス単一設計を全体に浸透、4)運用保守、5)人材開発、6)移行の6つのイニシアティブを持つという。5)については、「クラウドをいかに効果的に使うかは人材にかかっている」と村林氏。
このような位置付けとイニシアティブのもとに本格活用を開始、1年半が経過した現在、10種類以上のAWSサービスを使っており、本番稼働は5システムあるという。開発中・検討中の案件は100を越えるとのこと。
最後に村林氏は、「AWSはIT業界のシェアリングエコノミーだ」と喩える。「みんなが活用して、みんなが進化させていくもの」と今後の期待を語った。