矢野経済研究所は、5月22日、国内インターネット広告市場に関する調査結果を発表した。2016年度の同市場規模は前年度比116.0%、約1 兆956億円の見込み。2017年度には1兆2600億円、2020年度には1 兆8500億円まで拡大すると予測される。
同調査は、2016年6月~2017年1月に実施れ、調査対象は主要広告代理店、メディアレップ、アドテクノロジ提供事業者など。市場規模については、インターネットの各種媒体に出稿された広告の出稿額を合算し、算出している。
インターネット広告国内市場規模と予測(金額数値の単位は100万円)
2016年度について、同研究所では、コンテンツ配信用に加工したフィードと呼ばれるフォーマット内に表示されるインフィード広告や動画広告及びSEM(検索エンジンマーケティング)、ネット広告メディアのサイトを多数集めた広告配信ネットワークであるアドネットワーク、DSP(Demand-Side Platform)、SSP(Supply-Side Platform)の利用拡大が影響しているとしている。
DSPは条件に合った金額やタイミングで、想定されるユーザー(閲覧者)向けに自動で出稿できるプラットフォームで、SSPとは広告閲覧、及び表示の際、瞬時に各媒体の広告単価を比較し、広告効果が最も高いと判断される広告を選択して媒体社に配信するプラットフォーム。
インターネット広告国内市場に占めるスマートフォン向け広告の市場構成比は2013年度には2割強だったが、2016年度には約51%となる見込み。今後は、スマートフォン広告の中でも、アプリケーション(アプリ)内における広告出稿が増加することが予測されるという。
また、インターネットユーザーの閲覧媒体がスマートフォンに移行していることなどから、インフィード広告出稿が拡大している。とくに、、SNSやアプリなど、トラフィックが集まる媒体でのインフィード広告出稿が増えている。
さらに、2016年度の動画広告市場規模は前年度比190.8%の866億 3000万円の見込みで、今後も大幅に拡大すると予測される。同研究所では、動画広告は対象となる商品やサービスを訴求する運用型広告(課金式広告)として活用される傾向にあるが、企業のブランディング目的での動画広告の利活用が進んでいくことを背景に、急速に拡大していくとしている。その一方で、広告閲覧者(ユーザー)にマイナスイメージを持たれないように、ユーザーの動画閲覧環境下において適切なタイミングやコンテンツなどの広告配信に取組んでいく必要があるとした。