PwCのストラテジーコンサルティング(Strategy&)は、「日本企業のデジタル化とCDO」と題する調査レポートを発表した。グローバルおよび日本企業の最高デジタル責任者(Chief Digital Officer:CDO)に関する調査から、CDO設置企業の割合が、グローバルでは2015年の6%から2016年は19%に、日本では0%から7%に増加していることが分かった。
CDOの経歴についてグローバルでは、2015年に「マーケティング、営業」が54%と半数以上だったが、2016年は39%に下がった。一方で「テクロノジー」が14%から32%へと増加している。就任は社内からが53%、社外からが47%。
日本でのデジタル化の責任者の役職は、79%以上が執行役員以上(CEO17%、CxO31%、 執行役員31%)。またデジタル化に対する社内の理解は、責任者の役職が上であるほど高くなっていることが分かった。
また、日本企業で「デジタル化を推進している」と回答した企業は88%。75%の企業が横並びあるいは同業他社の状況を見つつ進めると回答している。
日本企業におけるデジタル化の取り組みは、「顧客との関係」では、その目的として「顧客へのタイムリーな製品、情報の提供」が67%で最も多い。具体的な取り組みとしては「顧客情報の統合管理」が65%と最も多く、業種別では、「金融業、保険業」(38%)、「情報通信業」(38%)だけではなく、「製造業」(28%)でも取り組みを推進していることが分かった。
「製造プロセス」でのデジタル化については、その目的の上位に「コスト削減」が64%、「開発・試作に必要な期間の短縮」が60%、「在庫水準の適正化」が52%となった。具体的な取り組みとしては「電子データを活用した仕入れ先との部品の要件定義」が最も多く62%、「受発注業務・納期管理の電子化」が56%。
「働き方」においてデジタル化を推進している企業は、「従業員の生産性向上」(80%)を大きな目的としている。そのための具体的な取り組みとしては「業務の電子処理化」が63%と最も多くなっている。
調査は2016年7月1日現在で時価総額トップ2500社を対象に、CDOの有無、バックグラウンドなどの分析(2015年までは1500社を対象としていたものを拡大)した。CDOの有無を調査するために、企業役員データベース(Avention、BoardEx)、記者発表(Factiva)、各社ウェブサイト、ビジネス向けSNS(LinkedIn、Xing)、その他のインターネット調査を実施している。
日本でのCDO調査は、従業員500人以上の企業の部長職以上2423人を対象に、インターネットでスクリーニング調査を実施。また、「自社がデジタル化を推進している」とした従業員500人以上の企業の部長職以上300人に対しても調査を行っている。調査期間は2016年11月。また、2016年12月~2017年1月にインタビュー調査として、特徴的なデジタル化の取り組みを行っている企業(10社程度)のデジタル化推進責任者にもインタビューもしている。