機械学習の用途はさまざまだが、DellがCircular Boardと組んで女性起業家を支援するAIサービスを構築した。その名も「Alice」。起業という”Wonderland(不思議の国)”に足を踏み入れた女性たちの、成功に向けたナビゲーション役を目指す。傘下のPivotalを利用し、4カ月でローンチにこぎつけた点も注目だ。
Circular Boardは女性起業家向けのアクセラレータープログラムを展開するスタートアップ。創業者のCarolyn Rodz氏自身、女性起業家であり、起業は3社目だ。これまでの失敗を含む経験、そしてCircular Boardでのアクセラレータープログラムを通じて、女性起業家が共通の課題を抱えていると感じた。
「自分自身が最初の起業で感じたことが、エコシステムとの結びつきがないという点。Aliceでは、自分が起業した時にあったらよかったのにと思うものをそろえた」と語る。女性起業家が必要とする投資や人脈、関連する情報にフォーカスして、必要なものを得やすくする。男性でも使えるが、女性と男性では起業家の成功要因は異なるため、「女性起業家向け」と銘打っている。
Aliceのダッシュボード。右上の「TALK TO ALICE」から、音声入力もできる。英語のみだが、対応言語も増やして行くと言う。
Rodz氏がAliceのアイデアを持ち込んだのはDellだ。DellはCSR活動として女性起業家を支援しており、Rodz氏は年次イベント「Dell Women’s Entrepreneurship Network(DWEN)」に3年前に初参加、Dellなら賛同してくれると感じた。
Dell Technologiesの社内起業家、Elizabeth Gore氏はもちろん大賛成だった。そして、傘下企業のPivotalに持ちかけた。Pivotalの最高経営責任者(CEO)、Rob Mee氏は二つ返事で賛成、即座にチームを組み、Circular Boardとの共同作業がスタートした。2107年1月のことだ。
Pivotal Labsはアジャイル開発と顧客の手厚い支援で知られており、Circular Boardとも製品の設計から開発、テストと横に座って同じ画面を共有しながら作業した。コードの作成だけでなく、ユーザーテスト、リサーチなども共同で行ったと言う。小さな男の子を抱えていたRodz氏は、Pivotalのある西海岸に子連れで短期間滞在、子供を連れてPivotal Labsに通いながら完成させた。