日本IBMは、「BankBot」と名付けたインターネットバンキングを狙うトロイの木馬(バンキングトロイ)への注意を呼び掛けた。20種類以上の正規のAndroidアプリを装う手口でGoogle Playから配信されたという。
同社によると、BankBotの攻撃者は、まず照明アプリやビデオ視聴アプリ、ゲームアプリなど一見無害なアプリをGoogle Playから配布する。次に、ユーザーがインストールしたこれらのアプリをアップデートさせ、その際にBankBotのマルウェアモジュールを密か組み込む。
これによってアプリがバンキングトロイに変化し、ユーザーの端末から認証関連の情報を盗み取られる。攻撃者は、盗んだ情報を使ってインターネットバンキングへアクセスし、正規のユーザーになりすまして不正送金などの行為に及ぶ。
IBMは、攻撃者がGoogle Playを悪用することで、ユーザーに怪しまれることなく、マルウェアの土台となるアプリを簡単かつ大量にばらまくことができ、情報の窃取とインターネットバンキングへの攻撃を別々に行うことで、ユーザーに気付かれることなく、目的を達成できると解説する。
似た手口はこれまでもあったが、現在のGoogle Playでは、マルウェアモジュールを含むアプリのアップロードがブロックされ、仮にアップロードされてもすぐに削除される。Google Play以外のサードパーティーのアプリストアで拡散させるにも、まずユーザーをアプリストアに誘導する手間があり、攻撃者によっては非効率的になった。そこで、先に正規アプリとしてGoogle Playへ登録し、更新機能で後からマルウェアを組み込む方法を編み出した。
現在のBankBotは、主に欧米圏で拡散している。ユーザーの端末が旧ソ連の国々で稼働している場合は、BankBotが作動しないという特徴も見つかった。大半のアプリは既にGoogle Playから削除されたものの、一部は残像している可能性があり、IBMが順次Googleに通報しているという。
BankBotが含まれるAndroidアプリの一例(出典:日本IBM)