IBMとマサチューセッツ工科大学(MIT)は米国時間9月7日、「MIT-IBM Watson AI Lab」をマサチューセッツ州ケンブリッジに設立すると発表した。同機関は、ヘルスケアやサイバーセキュリティに焦点を当てた人工知能(AI)の研究を推進するとともに、同研究によって生み出されたAIテクノロジの商用化を目指す。
このイニシアティブは、大学と企業によるAI関連の共同研究および投資としては過去最大規模のものとされており、今後10年間で2億4000万ドルが投じられる予定だ。また、AIを専門とする科学者や教授、学生らが100人以上雇用され、共同で研究にあたるという。
さらに両組織は、MITの教職員や学生に対して、同施設で実現される発明やテクノロジの商用化に注力する新会社の設立も奨励するという。
IBMでコグニティブソリューションおよびリサーチ担当シニアバイスプレジデントを務めるJohn Kelly3世氏は「AI分野は過去10年間で信じられないほどの成長と進歩を遂げてきている。しかし今日のAIシステムは、現時点で素晴らしいものであるとはいえ、現実世界においてより複雑な問題に取り組み、われわれの仕事や生活を向上させるための新たなイノベーションを必要としている」と述べている。
Watson AI Labの設立は、2016年9月に両組織によって発表された、共同研究に向けた提携に基づくものだ。この共同研究は、人間と同じように音声データや画像データを理解できるAIの開発を目的としたものだ。
数年に及ぶとされている、MITの脳および認知科学部とのこの共同研究の開始に際して、音声および画像のデータストリームに対する「教師無し機械学習」として知られている分野の研究を実施するために、脳科学者や認知科学者、コンピュータ科学者が集められた。
新たに設立されるWatson AI Labは、IBM ResearchでAIおよび「IBM Q」を担当するバイスプレジデントのDario Gil氏と、MITの工学部学部長を務めるAnantha P. Chandrakasan氏の両氏によって率いられる。Watson AI Labの研究者らは、マサチューセッツ州ケンブリッジのケンドールスクエアにあるIBM Watson HealthとIBM Securityの本部や、近隣のMITキャンパスで共同研究を進めることになる。
IBMは声明で、MITの学生らとIBMの科学者らが新たなAIテクノロジを定義し、生み出していく上で役立つ共同研究テーマに関するアイデアの募集計画についても詳述している。テーマの例として、AIアルゴリズムや、物理面からのAIアプローチ、サイバーセキュリティ分野やヘルスケア分野におけるAIの応用のほか、AIを通じた社会の繁栄、すなわちAIがより多くの人々や国家、企業に対して経済的な利益や社会的な利益をいかにもたらせるのかといった研究が挙げられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。