2つのサービスで異なる運用
Booktopiaは2015年、米出版大手Penguin Random Houseから「Angus & Robertson’s Bookworld」事業を買収した。Baskin氏によれば、驚いたことに顧客ベースの重複はほとんどなかったという。
「Angus & Robertsonの顧客は、Booktopiaと比べて顧客ロイヤルティが少し高く、130年間続くAngus & Robertsonのようなブランドへの顧客ロイヤルティが高い傾向があることがわかった。彼らは、少しでも得になる商品を探してウェブサイトを渡り歩くことはしない」とBaskin氏は説明する。
同氏は2つのサービスの顧客ベースを分析して、それぞれの事業を違う戦略で展開していくことに決めた。
Angus & Robertsonでは、「顧客に体験を作らせる」ことを重視している。Angus & Robertsonのウェブサイトには、顧客がすでに読んだ本や、現在読んでいる本、これから読みたい本のリストを作れる「本棚」と呼ばれる機能があり、この情報を使ってその顧客個人に合わせたページや検索結果を提供している。
「Angus & Robertsonでは、このデータ主導のアプローチを使って、ユーザーが何をカートに入れているか、何を読んでいるか、どの本を高く評価しているかなどの情報を元に、顧客にサービスを提供している」(Baskin氏)
一方Booktopiaは、顧客データ(購入履歴、ブラウジングのくせ、ショッピングカートの中身、欲しいものリストの内容など)と、本の専門家コミュニティーが提供するお勧め情報を組み合わせて利用している。
興味深いことに、両サイトのベストセラートップ10は、多くの場合極めて似通っているという。
「顧客が教えてくれることと、専門家が教えてくれることが、同じ結論にたどり着いている。Booktopiaの本の専門家が、データ主導のアプローチが正しいことを証明しているような形になっており、興味深い」と同氏は述べている。
またBaskin氏は、この10年間でデータの活用は進んできたものの、Booktopiaはまだデータ活用の「上っ面を撫でているだけだ」と認めている。同社が現在直面している2つの課題は、データの膨大さとデータサイエンティスト不足だ。
「以前は、どこに、どのようにデータを保管するかが問題だった。しかしクラウドによってこれらの問題は簡単になった。当社では、『Amazon Redshift』をビジネスインテリジェンスチームのデータストアとして使用している」とBaskin氏は説明する。
「しかし、大きなデータセットをどう扱うか、どのようにデータを解釈するかといったスキルは、ごく最近まで大学では教えていなかった。これは新しいスキルであり、自分たちで習得してマーケットに持ち込むスキルだ」
「われわれは、そういうスキルを持つ人材を見つける必要がある」(Baskin氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。