セキュリティの専門家たちによると、ブロックチェーン技術は暗号通貨の交換に用いられるだけでなく、セキュリティを向上させるソリューションとしても利用できるという。
法人向けのソフトウェアとソリューションを手がける企業Synopsysの技術ストラテジストであるTravis Biehn氏によると、ブロックチェーン技術はセキュリティ分野における「決め手ではない」ものの、金融取引を記録する方法としてだけでなく、IoTデバイスやサプライチェーンのほか、ネットワーク上の通信を制御する手段としても期待できるという。
ブロックチェーンは元来、Bitcoinのような仮想通貨の交換を促す目的で設計された、分散化を前提とした電子台帳システムのための技術だ。
トランザクションに関するデータ、すなわち取引や発生源、アクティビティを格納する中央システムは存在せず、情報は世界中のコンピュータに分散、格納される。これらのコンピュータ群はノードと呼ばれ、チェーン(鎖)のような形でつながった情報を保持することになる。
Biehn氏は米ZDNetに対して、「ブロックチェーンを用いて構築できる分散システムはエキサイティングなものであり、ハードウェアに根ざすサプライチェーンの問題や、ソフトウェアサプライチェーンの問題を解決するといった分野で有望なだけでなく、サイバーセキュリティの分野にも適用できる」と述べるとともに、「ブロックチェーン技術によってもたらされる透明性の向上は、それ自体でサイバーセキュリティにおける難問解決に間違いなく役立つのだ」と述べている。
データ漏えいやネットワークへの侵入といったセキュリティ上の問題は、必ずしもソフトウェアの脆弱性によって引き起こされるわけではない。サプライチェーンも問題を引き起こす可能性がある。
ヒューマンエラーの入り込む余地がある場合や、内部の人間によってサプライチェーン内の情報やシステムが操作される可能性がある場合、ブロックチェーン技術によって、疑わしいアクテイビティを全ノードに向けて自動的に共有することで問題を解決できるはずだ。