海外コメンタリー

クラウドは「セキュリティの死角」を作り出している

Asha McLean (ZDNet.com.au) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-08-23 06:30

 ネットワーク関連製品を手掛けるCisco Systemsが作成したレポート「Cisco 2017 Midyear Cybersecurity Report」(シスコ2017年中期サイバーセキュリティレポート)によると、エンタープライズセキュリティという観点から見た場合、クラウドは死角を作り出してしまっているという。

 同レポートは、クラウドがハッカーらにとってまったく新たな開拓地であり、企業による「ミッションクリティカル」なクラウドシステムの稼働が増えるにつれて、アタックベクタとして研究、悪用されるケースが増えてきていると記している。

 また、クラウドシステムに侵入することで、それに接続されているシステムにも手早く侵入できるという事実にハッカーらが気付いたとも記している。

 同社の観測によると、洗練性に差こそあるものの、2016年末からクラウドシステムを標的にした攻撃活動が増加しているという。

 2017年1月、Ciscoの研究者らは、総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)を用いて企業システムへのログインを試みている攻撃を検出した。同社によるとこのハッカーらは、検証済みの企業ユーザー認証情報を収集したライブラリを作成しており、20種類の怪しいIPアドレスを用いて複数のサーバからさまざまな企業のクラウド配備に対するログインを試みていたという。

 同レポートは、ユーザーパスワードを直接やり取りすることなく、エンドユーザーのアカウント情報をFacebookなどのサードパーティーのサービスから使用できるようにする「Open Authorization」(OAuth)というテクノロジは、クラウドの使用を容易にするという目的を持っているものの、実際のところはリスクも生み出してしまっていると記している。

 このレポートは「OAuthのリスクに加えて、特権ユーザーアカウントがたった1つ適切に管理されていないだけで、悪意を持ったハッカーらが容易に侵入できるようなセキュリティ上の隙が生み出される。彼らは既にクラウドに狙いを定め、企業のクラウド環境に侵入しようと執拗(しつよう)な攻撃を続けている」と記している。

 Ciscoによると、これまでで最大級の侵入事例のいくつかは、特権を持ったユーザーアカウントのうちの1つが攻撃され、悪用されたところから始まったのだという。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  4. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]