ITリーダーに求められる素養は、常に変化し続けている。ビジネス上の要求は早いペースで変化し、技術も急速に進歩する中、最高情報責任者(CIO)がその状況に後れを取らないようにするには、常にスキルを新しく保つ努力が必要となる。
では、次世代のITリーダーには何が求められるようになるのだろうか。この記事では、新たな人材を育てようとしているCIOに対する、4人の専門家からのアドバイスを紹介する。
ビジネスに関する視点を養うためのメンターシッププログラムを設ける
英国の老舗百貨店LibertyのテクノロジーディレクターMartin Draper氏は、これまでの経歴の中で、次世代のCIOのためにさまざまなメンターシップの仕組みを運用してきた。同氏はそのやり方をLibertyでも実践しようとしている。また同氏は、優れた技術のプロフェッショナルは、技術とビジネスの両方を理解できる、広い視野を持つべきだと考えている。
Draper氏は、「次世代のCIOは、組織のあらゆることが集まってくるような存在であるべきだ」と述べている。
「CIOが成功するためには、全体を視野に収めている必要がある。次世代のCIOは技術的プロセス、商業的なプロセス、ビジネスプロセスのすべてを理解できなくてはならない。わたしがこれまでのキャリアで目指していた人たちは、これらのスキルを併せ持っていた。幅広い経験は絶対に必要だ」(Draper氏)
Draper氏は、これからのCIOに必要な素養は、テクノロジ企業の社内で働いている人材との差別化ができる能力だと考えている。
クラウド時代には、多くの企業が社外のパートナー企業と、従来よりもはるかに緊密な関係を築く可能性が高い。そうなれば、一部の企業はIT部門を縮小するだろうし、それらの企業の従業員は、自分の価値を証明できなければ生き残れないかも知れない。
「大手コンサルティング企業は自社のソフトウェア製品を知り尽くしているが、そうした企業の対顧客部門には、さまざまな業界で働いた経験のある人材は少ない。ベンダー企業のエンドユーザー戦略に対する知識は、まだ十分ではない」と同氏は語る。同氏はLibertyに参加する前に、さまざまな業界を対象にビジネスインテリジェンスに関するコンサルティングを行っていた経験がある。
「わたしの強みの1つは、さまざまなコンサルティング企業やエンドユーザー企業で働いた経験を持っていることだ。わたしにはいくつもの業界の、さまざまな商業的な側面を知る機会があった。その経験があるからこそ、ビジネス上の課題に対して技術による解決策を提示する役割を果たせている」(Draper氏)