IDC Japanは9月26日、国内レーザーMFP(Multi-Function Peripheral)/プリンタ市場に関する2017年第2四半期(4〜6月)の実績を発表した。それによると、2017年第2四半期国内レーザーMFP/プリンタ全体の出荷台数は、前年同期比3.5%減の30万3000台となった。
プリンタ機能に加えて、複写機能やスキャナ機能などを備えたレーザーMFP市場は、カラーレーザーMFPが前年同期比0.3%減の12万2000台、モノクロレーザーMFPが8.1%減の4万1000台、レーザーMFP全体では前年同期比2.4%減の16万3000台となっている。
またレーザープリンタ市場は、カラーレーザープリンタが前年同期比2.3%減の4万2000台、モノクロレーザープリンタが5.9%減の9万8000台で、レーザープリンタ全体では前年同期比4.8%減の14万台となった。なお、ベンダー別の出荷台数シェアでは、キヤノン、リコー、富士ゼロックスが大きなシェアを持っており、この3社で60%以上のシェアを維持している。
国内レーザーMFP/プリンターの出荷台数推移(2014年第2四半期〜2017年第2四半期)
国内レーザーMFP/プリンターの2017年第2四半期カンパニー別出荷台数シェア
全ての市場セグメントで前年同期比マイナス成長という厳しい市場環境とする中で、最近はコンビニに設置されているA3カラーレーザーMFPの進化が注目されているという。最新のコンビニ設置MFPは、コピーを中心とした基本機能に加えて、クラウド連携によってコンテンツアウトプットポータル機能やモバイルワーク支援プリント機能などを持つようになってきた。
IDCの調査によれば、コンビニ設置MFPは2012年からの累計設置台数で約6万4000台に上り、国内のほぼ全てのコンビニにMFPが設置されている。コンビニ設置MFPは、国内におけるコンテンツビジネス、そしてモバイルワークなどの働き方改革を支援するためのプリンティングプラットフォームとして、大きく進化していく可能性がある。
国内コンビニ設置MFPの出荷台数と累計出荷台数推移(2012年第1四半期〜2017年第2四半期)
イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は、「コンビニ設置MPFはクラウド連携によって大きく変化しようとしている。従業員の働き方改革を目指す企業は、モバイルワークの際のプリント支援環境として、コンビニ設置MFPの活用を考慮すべきである」と話す。
以下、IDCの分析を紹介する。
コンテンツのアウトプットポータル機能とは、クラウド上の多種多様なコンテンツを自由にプリントする機能。こうしたコンテンツには、アーティストやアニメキャラクターのブロマイド、地図、楽譜、各種公営ギャンブル関連情報などがある。また、マイナンバーカードを使って住民票や印鑑登録証明書といった各種証明書をコンビニ設置MFPからプリントすることも可能。対応している市区町村は、現在のところ全国で400超だ。
さらに、コンテンツのプリント用IDを、ソーシャルメディアを使って共有するという新たな活用事例も紹介され始めている。こうしたコンテンツには、スポーツイベントの応援用プラカード、デモ参加者用プラカード、クリエイターが作成したイラストなどがある。こうした活動は、ソーシャルメディアで物理的プリントアウトを共有するという新たな価値を模索する動きとして注目されている。
コンビニ設置MFPのもう1つの重要な機能は、企業のモバイルワークを支援するモバイルプリント機能。この機能を使えば、出張/外出先でコンビニに立ち寄ることで、クラウド上にある文書をその場でプリントすることができる。また最近では、あらかじめ法人契約を結ぶことによって、企業ユーザーのアカウントを使ってプリントし、まとめて課金するサービスも利用できるようになってきた。働き方改革を推進する多くの企業にとっては、今後重要な機能となっていくと考えられる。