海外コメンタリー

スマートな配送ネットワーク支える多様なビッグデータ活用--米運送大手UPS - (page 2)

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-10-04 06:30

 ORIONやNetwork Planningツールのようなプロジェクトは、貨物配送ネットワークの全体的な意思決定能力を改善するための、数多くの取り組みの一部だ。例えば同社は最近、人工知能を使って、顧客が「Facebook」や「Amazon Echo」を含むさまざまなプラットフォームから、料金や配送に関する情報について調べるのを手助けするチャットボットの3つ目のバージョンをリリースした。

 「このプロジェクトは今後も進化し続ける。同じことが、スマートな配送ネットワークを支えるわが社のあらゆるイノベーションについても言える」とPerez氏は言う。「事業は今もすべて問題なく動いているが、わが社は継続的に改善していける余地があることを認識している」

ビッグデータを活用してビジネス上の課題を克服する

 「ビッグデータで重要なのはビジネスケースだ。われわれIT部門が、どれだけ効果的に優れたビジネスケースを定義できるかが問題だ。これには、どうすれば顧客へのサービスを改善できるか、投資利益率はどの程度か、データを使うことで、事業のほかの側面をどう改善できるかといったことが含まれる」とPerez氏は言う。

 こういった異なるビジネスケースは、役員の念頭にはないこともある。コンサルティング企業のMcKinseyは、多くの企業は1つのデータセットだけを掘り下げており、別のデータセットが企業のほかの部門にどんな意味を持つのかを検討できていないと述べている

 しかしPerez氏は、UPSの場合、情報の再利用が大きな影響を与える可能性があると話す。例えば同氏は、配送情報を使えば、地理的な条件によって、どんな配送ソリューションが効果的かが分かると述べている。

 「アクセスポイントを増やすべきか、ロッカーを導入すべきか、ドライバーに受け取りサインなしで荷物を置いてくることを許すべきか。データやテクノロジ、アナリティクスが、各地域の事情に合わせて、これらの設問に答える能力を高めてくれる。このメリットは、顧客から異なる形で収集された情報によってもたらされる場合もある」と同氏は言う。

 Perez氏は、この新鮮でオープンなアプローチは、データの活用に長けた最高情報責任者(CIO)に新たなチャンスをもたらすはずだと述べている。「以前は、テクノロジの購入や、データレポジトリの作成や、情報の発見などが話題になっていた」と同氏は言う。「最近は素晴らしい方向に話題が変わってきている。新しいプロジェクトについて議論をすると、最初からデータの話が出てくる」

 例えばUPSでは、どの部門の役員も、当然のように自分の部門でデータを活用できる可能性がないか、適用した知見がUPS内のほかのモデルと関係していないかといった議論をしていると同氏は説明する。

 またこれらの役員は、利用できる情報がないか、ほかの部門にあるデータで、二度手間を避けられるのではないかといったことも尋ねてくるという。

 「データに関する議論は、非常に活発になっている」と同氏は言う。「この高いレベルでの協力は、全員にメリットをもたらしている。組織全体で重要性が認識されているため、レポジトリはますます改善され、二度手間も減り、将来の新たなビジネスケースのデータモデルも効果的なものにできる」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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