人間の「代替」ではなく「補助」
IDCでは、コグニティブ/AIシステムを、「自然言語処理と言語解析を使用して質問に応答し、機械学習をベースとしたリコメンデーションとディレクションを提供する技術」と定義。客観的な事実情報などの利用可能なエビデンスに基づいて考えられる回答を仮説化・定式化する。さらに、膨大な量のコンテンツを取得することによって訓練され、過去の誤認や間違いを基に自動で学習する機能を持つとしている。
その考え方については、「人間の意思決定をより早く、正確に、確実に、バイアスのない広範囲で深いエビデンスを基に補助し、人間への補助をより包括的な視点で行うもの」(眞鍋氏)と説明。自然言語処理、自然言語解析、リアルタイム学習、類似経験認識、スコアリング、サイクルバック学習などを機能要件として挙げた。
コグニティブ/AIシステムのエコシステムは、大きく3つのレイヤに分けられる。1つ目はシステムの中心となるコアテクノロジのレイヤだ。上記の機能要件を実現するための技術群で構成される。2つ目はコアテクノロジを組み合わせて使いやすくしたプラットフォームのレイヤ。1つ目のレイヤをIaaSとするなら、2つ目のレイヤはPaaSというように捉えることもできるだろう。
3つ目はアプリケーションのレイヤである。セールスやマーケティング、人事、ITパフォーマンス管理など、さまざまなアプリケーションからプラットフォームレイヤを経由して、コアテクノロジの機能を活用することになる。

コグニティブ/AIシステムのエコシステム
「まずは既存の業務アプリへの組み込みが主流になっていくだろう。アプリの見え方は変わらないが、AIエンジンが裏で動いていて意思決定を助けてくれるような仕組みだ」(眞鍋氏)
データとコンテンツも重要になってくる。正しい情報を蓄積しておかないとシステムが正しい答えを返せないからだ。「情報をいかに正確かつ大量に保持しておくかが大切となる」(同)