「デジタルコマースは今後、プラットフォームビジネスになっていく」
(米Gartner Sandy Shen リサーチディレクター)
米Gartnerの Sandy Shenリサーチディレクター
ガートナージャパンが先頃都内のホテルで開催した自社イベント「Gartner Symposium/ITxpo 2017」において、デジタルコマースにおけるAI(人工知能)などの最新技術の活用について記者説明会を開いた。冒頭の発言はその会見で説明に立った米GartnerのSabdy Shen(サンディ・シェン)リサーチディレクターが、今後のデジタルコマースのビジネス形態について語ったものである。
Shen氏はデジタルコマースへのAIの活用について、「2020年までに、AIはデジタルコマースを目的として少なくとも60%の組織に使用される」と予測。さらに、「2020年までに、デジタルコマースでの売り上げ増加の30%は、AIによるものとなる」との予測も明らかにした。
他にもこうした予測を幾つか挙げていたが、それもさることながら、筆者がShen氏の話の中で最も興味深かったのは、冒頭の発言にあるように、今後のデジタルコマースのビジネス形態の変化についてだ。Shen氏は図を示しながら、次のように説明した。
図:デジタルコマースにおけるこれまでとこれからのビジネス形態
「図の左側は従来のコマース形態で、製品を売ることを目的に直線型の関係性となっている。これに対し、これからのデジタルコマースは図の右側のように、関係するプレーヤーとネットワーク型でつながり、製品を売るだけでなくカスタマーエクスペリエンスを一段と高めていくためのエコシステムを形成していくプラットフォームビジネスの形態になる」
その中心にいるのが、いわゆるプラットフォーマーである。プラットフォーマーになることができれば、「従来のように製品の売り上げだけでなく、プラットフォームの利用料金や売り上げのシェア、APIの利用料金など、さまざまなところから収益を得ることができる」という。
果たして、日本のコマース企業はプラットフォームビジネスに変えていくことができるか。Shen氏の話を聞いて、そんなことが頭に浮かんだ。